IT集積地 ロシア第4の都市ニージニー・ノブゴロド
「ロシアの財布」
ニージニー・ノブゴロド
モスクワから東へ400kmの場所に人口120万人、ロシア第4の都市ニージニー・ノブゴロドはあります。オカ川とヴォルガ川の合流する地点で、昔から「ロシアの財布」と呼ばれ、
商工業で栄えた街です。
有名なロシア国産車メーカー”GAZ”の工場があり、労働人口は70万人と言われいます。
20世紀にロシアの抑圧された人々を描いた、大作家マクシム・ゴーリキーも
ニージニー・ノブゴロドの出身です。
また日本では馴染みがないかもしれませんが、18世紀の偉大な発明家イヴァン・クリビンも
ニージニー・ノブゴロド出身です。
(ネヴァ川にかかる橋、トラクター、電灯など、実に様々な発明をしています)
IT集積地としての
ニージニー・ノブゴロド
今回はITスタートアップコミュニティの運営者であるイーゴリに、
ニージニー・ノブゴロドを案内してもらい、いろいろとIT産業とスタートアップ界隈の
お話を聞くことができました。
↓イーゴリの運営するスタートアップコミュニティ
ニージニー・ノブゴロドのIT人材は約8,000人で、IT企業が360社以上あると言われています。生活維持コストが低いため、大手企業の開発部署がニージニー・ノブゴロドに
拠点を移してきており、Yandex(80人)、Mail.ru(1200ー1400人)、NetCracker(300人)、
Intel(ロシアでは唯一; 700人)などがオフィスを構えています。
40㎡の1Kなら8,000〜20,000ルーブル/月で借りることができます。
(ちなみに、ペテルブルクだと20,000〜35,000ルーブル/月、モスクワだと30,000〜65,000ルーブル/月)
ここでのIT専門家の平均月給が50,000〜60,000ルーブル、シニアマネージャーレベル(全体の10%程度)になると100,000〜120,000ルーブルになります。
ニージニー・ノブゴロドは大企業とスタートアップの関係性が非常に良く、
イベントやミートアップには、企業がオフィスを貸し出しています。
(2/12開催のセキュリティ関係のミートアップ「DEF CON ニージニー・ノブゴロド」では、Yandexがオフィスを貸し出しています)
ニージニー・ノブゴロドは2013年頃より行政がIT分野の振興に注力し始めました。
2012年末:ビジネスインキュベーターの”CLEVER”がリブランディング
Бизнес-инкубатор CLEVER
2013年:モスクワーニージニー・ノブゴロド間を4時間で結ぶ鉄道≪つばめ≫が開通
2014年:テクノパーク”アンクディノフカ”がオープン
元々は、企業のアウトソーシング先として、受託開発がメインだったニージニー・ノブゴロドのIT産業でしたが、近年はニージニー・ノブゴロド発のスタートアップも注目を集めるようになってきました。国内だけでなく、海外からも投資家がスタートアップを買収する事案が増えてきています。2016年には初めて、テクノパークにてITコンクールが開催されました。
- ニージニー・ノブゴロド発で注目を集めているスタートアップ
Idei Podarkov
ギフト特化EC
NN.RU(ニージニー・ノブゴロド オンライン)
ニージニー・ノブゴロドのポータルサイト
アメリカ人投資家に買収されました
NNOV.ORG
ニージニー・ノブゴロドのポータルサイト
EXIT済み
Adore Games
オンラインゲーム開発
Freemake
オーディオ・ビデオコンバーター
DVDVideoSoft
オーディオ・ビデオコンバーター
itSeez3d
3Dスキャニングモバイルアプリ
Mobile 3D Scanner App for iPad | itSeez3D
Intelsol
スマホゲーム
Comfortway
グローバルSIM
akogda
最新ドラマお知らせサービス
- エンジェル投資家
Eduard Fiyaksel
Eduard Fiyaksel — GVA LaunchGurus
Comfortwayの開発者たちと
前回、RSP技術を使ったグローバルSIMを開発したComfortwayを紹介しました。
今回、オフィスを訪問させてもらい、開発者のマキシム(左)とジェーニャ(右)から話を聞くことができました。
Comfortwayのプロジェクトがスタートしたのは、実際には2009年頃からでした。
このプロジェクトに関わる彼らは、企業のアウトソーシングを受けたり、他の企業に勤めたりと他にも収入源がある中で、プロジェクトを進めています。
実際、ComfortwayのSIMカード事業が始まるには、”Video Consultant”
(コールセンターのオペレーターが使用する営業ツール)というBtoB向けソフトウェアを
開発して、サービス提供していました。
Comfortwayの今のチームは15人。モスクワにヘッドオフィス機能があり、
開発がニージニ・ノブゴロド、他にも香港やチェコ・プラハにもスタッフがいます。
会社登記上はチェコ法人です。
今は、モスクワを中心に営業を進めており、世界中の通信事業者とパートナーを組み、
BtoCでグローバルSIMの販売を加速させていくとのことです。
今後の展開としては、
グローバルな競合相手を認知はしていますが、ソリューションが異なるため、
サービス認知と開発投資のスピードを上げていきたいとのことでした。
日本市場については、現在は中国の通信事業者を通している為、
料金体系が割高になっており、日本の通信事業者と直でパートナー契約を結びたい、
とのことでした!大手通信会社の皆様、ご連絡をお待ちしております!
彼らは30代で、落ち着きもあり、とてもオープンな性格で、
初対面にも関わらず、本当によくしてもらいました。
彼らのグローバル展開が成功するように今後も応援したいと思います!
SIM一枚で世界を渡る!クラウドSIMの”Comfortway”
近年は海外旅行の際でも、現地で携帯やスマートフォンを利用できるサービスが増え、
非常に便利になりました。
大手キャリアの海外パケットし放題や、レンタルポケットWifi、現地SIMカードの購入など、様々な方法があります。
便利になった反面、海外に行った際、ついデータローミングの設定変更を忘れてしまった事はありませんか?ひどい時には帰国後に高額な請求がくることも。。。
日本では最近、 「海外ローミング放題SIM」というチャット機能だけに制限した海外渡航者向けSIMカードが発表されました。
サービス紹介 - 海外ローミング放題SIM - 留学・旅行で大活躍の海外SIM
今回ご紹介する ロシア発のスタートアップ”Comfortway”は、全く別のアプローチで、
この携帯電話・スマートフォンの海外利用という市場に切り込んでいます。
もうローミングは必要ない?
SIM一枚で世界を渡る
"Comfortway"
Comfortwayは国内でも海外でも一枚のSIMカードだけで、スピーディーに
現地の通信回線に接続し、格安通信を可能にするサービスを提供しています。
利用方法はいたって簡単です。
- ComfortwayのSIMカード(CwSim)を購入します。
- App storeやGoogle playからアプリをダウンロードします。
- アプリ上で現地の通信会社と料金体系を選択して、利用することができます。
SIMカード自体は、990ルーブルで、届いた時点で5ユーロ分が利用可能になっています。
現在、利用可能国は140以上です。
料金体系は、国とパケット量によって異なりますが、主要国は以下の通りです。
【アメリカ】
100MB - 2€、200MB - 4€、500MB - 10€、1024MB - 20€
【フランス】
100MB - 2€、200MB - 4€、500MB - 10€、1024MB - 8€
【日本】
100MB - 34€
ちなみに、
ソフトバンクの海外パケットし放題が、0~1,980円/日、25Mバイト以上なら2,980円/日。
「海外ローミング放題SIM」がチャット利用だけで4,000円/年間。
【ロシア】
100MB - 2€、1024MB - 5€
ちなみに、
ロシアの大手通信会社が、300〜2,000ルーブル/月(約4.7€〜31€)
バーチャルSIMテクノロジー
ComfortwayがどうしてSIM一枚で世界中の回線に接続でき、かつ、
ローミングを必要としないかというと、”バーチャルSIM”という製品を
彼らが開発したからです。
ここにはRSP(Remote SIM Provisioning)という技術が活用されています。
この技術は、2014年のGSMA(携帯電話システムの標準化や技術開発を目的とした
業界団体)によるカンファレンスで発表され、2016年に正式に標準化されました。
この技術によって利用者は自分の端末から、SIMカードの書換えを行うことができるようになりました。
Comfortwayは渡航先でアプリを通して、自らSIMカードの情報を書換え、
通信事業者と料金体系を選択するという仕組みをサービス提供しています。
Comfortwayが創業したのは、2012年です。創業者のアレッグ・プラブディン(Олег Правдин)は当時、旅行者向けの3GWifiルーターの提供をしていました。
2015年にФРИИ(Internet Initiatives Development Fund:ロシア最大のインキュベーター)のアクセラレータプログラムに参加し、80万ルーブルの出資と60万ルーブル相当の、
エキスパート支援を受けています(7%の株式と引き換え)。
同2015年からSkolkovoに入居し、2016年、欧州の通信会社から
総額600万€の増資を受けました。
今回の増資によって得た資金は利用可能範囲を広げていくことに使用される予定です。
すでに日本でも利用可能なので、次回日本に帰国する時には、
利用してみたいと思います。
Comfortwayの開発はニージニー・ノブゴロドで行われています。
オフィスを見に行けるということなので、その記事は次回の
「ニージニー・ノブゴロド特集」で書きたいと思います!
参照記事→
必読!ロシアのVC(ベンチャーキャピタル)まとめ!
今回はいつもと趣向をかえて、ロシアのスタートアップにおける、
VC(ベンチャーキャピタル)についてまとめてみたいと思います。
ru-Net Holdings
1999年からIT企業への投資を続けるロシアIT業界の大御所です。現在はホールディング化され、VCとしての役割は子会社の”RTP ventures”が担っています。
投資分野はE-commerce、コンテンツ、企業向けソフトウェアなどです。投資額も大きく、シリーズA以上で5億円〜100億円まで幅があります。
ロシア国内で2000万人のMAUを誇る動画サイトivi.ru に40億円、ロシア国内最大ECサイトOzon.ruに100億円を投資しています。
ポートフォリオ(ru-Net Holdings)
Practo, CupoNation, Pepper Tap, Delivery Hero, Housejoy, FAASOS, Snapdeal, ivi.ru, Ozon.ru
【Exit】 Yandex, Dealfind, FreeCharge, Payleven, FREECULTR, SoMuchMore
ポートフォリオ(RTP ventures)
WorkFusion, GridGain, Koding, Datadog, Zerto, Fab
【Exit】 Precog, RingCentral, Fab, Tutum
RTP venturesはru-Net Holdingsの子会社で、2011年設立。1億円〜10億円を投資し、投資分野は、クラウドコンピューティングや企業向けソフトウェアです。
Inventure Partners
2012年設立。ファンド規模は280億円で、1億〜5億円くらいの投資案件が多いです。現在は10社に投資しています。その中には、シリーズBで20億円の投資を受けたGett(Get Taxi:イスラエル)も含まれます。
投資分野は、コンシューマー向けサービスが多く、観光系への投資も目立ちます。特徴的なのは、他のグローバルVCと比べて、ポートフォリオにおけるロシアのスタートアップが多いことです。
ポートフォリオ
2can, CHRONEXT, onlinetours, Gett, Moneymatika, American Well, BUSFOR, Netology Group, CrowdSystems
【Exit】 Fogg Mobile, GETGOING
Sergey Azatyan(創業者)
アルメニア出身。モスクワ金融大学を卒業後、コンサルティング会社、投資ファンドを 経て、2005年にMarshall Capital Partnersを共同創業。Rustelecomの合併に関わるも、パートナーからIT分野への投資に理解が得られず解散。2011年にRambler, Mail.ru, Yandexを経験したAnton Inshutinと共にInventure Parnersを立ち上げる。
Flint Capital
2013年に設立され、イスラエルにも注力するVCです。ファンドは100億円規模で、基本的には1億〜10億円の投資案件が多いですが、中には20億円以上のものもあります。
投資分野は、AI・Bigdata、デジタルマーケティング、SaaSなどが多いです。
以前にこのブログで紹介したYouDO.comもここからシリーズAで1億円、シリーズCで6.2億円の投資を受けています。
ポートフォリオ
Socure, Job Today, CiberX, YouDO.com, YouAppi, Any.do, Deeplink, Webinar.ru
【Exit】 Lending Club, BlazeMeter, MentAd
RunaCapital
2010年に設立された、クラウドコンピューティングや仮想化、モバイルの分野に投資するVCです。2つのファンドをもち、合わせて270億円規模です。
20〜40%と引き換えに、3〜5億円を投資していますが、10億円を投資した案件もいくつかあります。ロシアだけでなく、シリコンバレー、ドイツ、イギリスを含む11カ国、
40企業に対して投資しています。
また、2014年に公表した2号ファンドは135億円規模で、投資分野はクラウド技術、
高度なセキュリティ技術、機械学習、フィンテック、教育、ヘルスケアです。
ポートフォリオ
Nginx, Ecwid, LinguaLeo, Jelastic, Dnevnik.ru, Procurify, Smava, LENDIO
【Exit】 Parallels, Acronis, Begun, Metabar, capptain, BackupAgent, Think Grid, StopTheHacker, Rocketbank
Serguei Beloussov (創業者)
サンクトペテルブルク出身。モスクワ物理工科大学で物理電気工学の修士、コンピュータサイエンスの博士を取得、クラウドコンピューティングにおける第一人者。Mac OSのデスクトップ仮想化のParallels、
データ復旧サービスのAcronis をゼロから1000人規模の大企業へと成長させた。
AlmazCapital
2008年設立のVCで、投資分野はインターネットインフラ、企業向けソフトウェア、
デジタルメディア、E-commerce、モバイル・コンシューマアプリ、
コミュニケーション、Dataストレージ・マネジメントです。
10-30%と引き換えに 7億円〜10億円を投資しています。2013年の終わりに発表した
2号ファンドは Run
ポートフォリオ
2can, Acumatica, AlterGeo, Jelastic, Paralells,CarPrice,GridGain
【Exit】Qik, Yandex, Appscotch, nScaled, Odin, Sensity Systems, Vyatta
Alexander (Sasha) Galitsky (創業者)
モスクワ物理工科大学でコンピュータサイエンスの博士を取得後、ロシア連邦宇宙局で衛星のデータ通信の開発。その後、ソフトウェアの会社を5社売却し、シリアルアントレプレナーとして、ロシア初のVCファンドを立ち上げる。現在は、スコルコボのボードメンバーとしても活躍。
iTechCapital
2011年設立のVC。投資額は1億円〜10億円です。投資分野はアドテク、デジタルマーケティングツール、メディア、テレコミュニケーション、E-commerce、E-banking、SNSです。現在は10社へ投資していますが、特筆すべきは1件あたりの投資額です。
ポートフォリオ
SEOpult, Garpun, icontext, Ticketland, aviasales.ru, CLICKKY, TradingView, ecwid, BitFury
【Exit】Qiwi, Applied Data Systems
チケット販売最大手のTicketland、航空券予約のaviasales.ru、SEO大手のSEOpultに
10億円ずつ、さらに、アドテクのGarpun に3.5億円、ブロックチェーンのBitFuryには20億、icontextは非公開ながら同社の株式25%相当と、大きな金額を投資しています。
Grishin Robotics
mai.ru の最高経営責任者であるドミトリー・グリシン(36) がポケットマネー25億円で2012年に設立したファンド。コンシューマー向けロボットに特化しています。2016年に設立した2号ファンドは100億円規模で、シードラウンドからレイトステージまで幅広く投資しています。
ポートフォリオ
STARSHIP, Planetary Resources, littleBits, Occipital, Bolt, Sphero
【Exit】
Dmitry Grishin (創業者)
モスクワ工科大学でロボット工学(学士)を専攻。
UMJ Russia
日本で唯一のロシア向けファンド。現在は、IT、メディア、マテリアルの 3分野10社への投資を行っています。支援先の Teamo.ru はロシア最大のお見合いサイトで、数百万人が登録しています。有名な心理学者によって設定された 17の性格診断を元に、
適切なパートナーとマッチングするサービスです。
参照サイト→
長浜さんというロシアのIT業界を詳しく調べていた方がいらっしゃったので、
これは、ぜひ情報をアップデートせねば!と思い引用させて頂きました。
質にこだわるお手伝いサービス”YouDo”
日本でもTIMETICKETや、ANYTIMESなど空いた時間を使って、自分の「得意」を売るサービスが流行っていますよね。
ANYTIMES : あなたの近所で「得意」を売り買いしよう
今回は、ロシアで急激に利用者を伸ばしているYouDOをご紹介します。
日常の問題解決に!
お手伝いマッチングプラットフォームのYouDO
ロシアでは、エージェント会社を通して、専門家に依頼することが一般的ですが、
サービスの質がまちまちだったり、中間手数料を取られて、
高額請求に発展することがあります。
その解決方法として、CtoCプラットフォームに目をつけたのが、YouDOです。
現在、問題としてカテゴリ登録されているのは、16種類。サブカテゴリまで含めると、100種類以上の項目から選択することができます。
カテゴリは、部屋の掃除などの日常的なものから、サイト制作など専門性の高いものまで、幅広くメニューが取り揃えられています。
以下は、実際の利用方法です。
【依頼者が自ら問題を提示する場合】
- 依頼者が自分の問題をYouDOに登録します。手伝って欲しいことをカテゴリから選択肢、日付・期間・料金などの情報を入力します。
- 入力された情報から、サービス提供者が提案を送ってきます。
- 提案の中から自分にあったものを選択して決済します。
↓申し込みフォーム
↓問題がカテゴリ毎に列挙されている。
↓説明動画
Как создать задание на YouDo
【カテゴリから受注者を選択する場合】
- カテゴリからサービス提供者を選択します。
カテゴリ別に目安料金が表示されています。
基本的に、依頼者は手数料無料でこのサービスを利用できます。
サービス提供者が支払う料金体系は、以下の2パターンのいずれかを選択できます。
↓無制限方式カテゴリ別料金表
例えば、サービス提供者は、複数のカテゴリにまたがって異なる提案を、
依頼者に送る場合、都度提案に対して支払った方がコストが抑えられます。一方、
一つのカテゴリに絞っているのであれば、無制限方式の方が沢山提案を送れますので、お得になります。
元々は、1契約あたりに対しての手数料発生(5〜15%)でしたが、
2016年から現在の料金体系に変更されました。
険しいサービス提供者への道
ただし、誰でもサービス提供者になれる訳ではありません。YouDOはサービス提供者に厳正な試験を課しています。
申し込みはYouDOのサイトから行えますが、まず書類選考の時点で、犯罪歴や、
クレジットカードの支払い遅延、行政処分など、あらゆる側面から、
信頼にたる人物かどうかが判定されます。書類選考の時点で、60%落選します。
その後、オンラインテストを受け、複数回にわたる面接を突破しなければなりません。
サービス提供者は、約1000人。うち600人がアクティブに活動しています。
また、サービスを利用しているのは、主に都市部に住んでいる25歳以上の、
平均以上の所得があるユーザー層です。登録者数は80万人。うち20万人が、
少なくとも一度は利用したことがあり、3,000人が週に一度は依頼をしています。
現在、1日の依頼数は約2,000件。平均の依頼金額が2,000〜2,500ルーブルです。
サービスローンチは2012年。ファウンダーのДенис Кутергинは、元々、軍人の家系で育ち、自身も防衛大に通っていました。しかし、インターネットに出会い、
彼は大学を中退し、起業の道を歩み始めます。
CtoCプラットフォームとしての再スタート
2009年、Денисは共同創設者のАлексей Гидиримと、今のYouDO.comの前身である、
YouDO.ruをスタートしました。
YouDOは元々、今のCtoCの形でなく、企業のPRイベントをオンライン上で支援する
サービス(例えば、レモンをいかに早く食べれるかを競う動画を掲載する)で、
BtoCがメインでした。
2012年、YouDOはYouDO.comとして再スタートしました。ターゲットを企業から、
一般消費者に切り替え、CtoCプラットフォームとしてピボットしたのです。
再スタートしたYouDOの勢いは凄まじいものでした。2012年には、
Forbs.ruのスタートアップコンテストで準優勝し、同じサービスを展開していた、Yandex(サービス名「Yandex.Master」)を2015年、市場から撤退させました。
前身のYouDO.ruの時から、一度も外部からの投資を受けていないYouDO。
今後は、世界展開も視野に入れているということなので、ますます期待がかかります!
インタビュー記事→
レッカー車から愛車を守れ!車両撤去防止アプリの"CrocoDie"
この写真、どこが渋滞部分で、どこからが違法駐車の列かわかりますか?
ロシアの都市を訪れたことのある人なら見慣れた光景ですよね。
ロシアでは数年前まで都市の交通渋滞が非常に大きな問題でした(近年は、交通インフラに莫大な投資がなされ、だいぶ改善されていますが)。交通渋滞の原因の一つに、一般道における違法駐車があります。せっかく片側3−4車線もの広い道路があっても、一車線分が違法駐車で埋まっているなんていうことは、日常茶飯事です。
違法駐車を取り締まる行政コストもバカにならないですが、一方で違法駐車の取り締まりは時に、善良な市民までも巻き込んでしまっています。
ロシアのレッカー車は駐車可能エリアに止めてある車まで、もって行ってしまうことがあるのです。CrocoDieファウンダーのКсения Загоскинаもそんな被害者の一人でした。
ロシア国立観光サービス大学を卒業した彼女は、品質管理の学位を取得し、石油化学製品の工場に完成品を輸出する貿易会社で最初のキャリアをスタートさせます。
CrocoDieのアイデアを思いついたのは、彼女の愛車が2度目の言われなきレッカー移動の被害にあった時です。
CrocoDieは、路上駐車をした運転手にレッカー車の接近を教えるモバイルアプリです。
使い方は以下の通り;
①路上に車を駐車したらスマートフォンでCrocoDieを起動させ、アプリ上の地図で駐車した場所が間違いない事を確認し、緑色のボタンを押します。
②もし、駐車した場所から半径300m以内にレッカー車が近づくと、SMSで知らせてくれます。
(ロシアでは、レッカー車の撤去作業中にその場にいる事ができれば、車は撤去されず、罰金を支払うだけで済みます。罰金は都市と車の重量によって変動しますが、8,000ルーブル程。現在の為替レートで約¥16,000です。ちなみに東京でレッカー移動されると¥40,000~60,000程度が取られます。)
CrocoDieを利用していれば、たとえ撤去されてしまっても、罰金費用は「全額保証」されます。利用料金は、
また、追加の料金体系を選択すれば、撤去されしまった場合の家までのタクシーも無料で手配してくれます。
では、アプリはどうやってレッカー車の接近を知る事ができるのでしょうか?
実は、CrocoDieでは利用者はレッカー車の写真をとってアップロードする事で、プレミアをもらう事ができます。つまり、利用者は同時にある種の”密告者”の役割を担うのです。
オペレーターが写真をみて、レッカー車を確認できれば、利用者は50ルーブルを得る事ができます。
CrocoDieのサービスローンチは2015年。しかしながら、すでに50,000人の利用者がいます。スタート時はモスクワのみでのサービス展開でしたが、現在サンクトペテルブルクを含むロシア10都市にまで利用が広がっています。
利用可能都市を広げていくには、現地にパートナーを作り、販売促進やPRを委託します。サービス管理は本社が行います。
それ以外にはほとんど広告販促費は使っておらず、ロシアの検索エンジンYandexのリスティングのみだそう。CrocoDieは新しい地域に進出するたびにマスメディアに取り上げられるので、自ら認知度を上げる必要がないようです。
今後は、利用地域の拡大だけでなく、海外展開、それから車に関するコンシェルジュサービスの拡充を考えています。
世界に目を向けると、違法駐車アプリは存在します。それはサイクリストが考えた違法駐車を取り締まるためのアプリで、違法駐車を見つけると、それをマップ上に記憶させて、レッカー車がくるというもの。
同じ社会問題でも、ロシア人は全く別の視点からソリューションを生み出しているのが、とても面白いと思いました!
インタビュー記事→
仲介手数料無し!アパーメントマッチングの”Локалс”
ロシアに旅行するとホテルに滞在するので、アパートメント事情は現地在住の人でないと、あまりイメージが湧かないかもしれません。
ロシアでアパートメントを借りる際は、通常エージェントを介して、物件を紹介されたり、オーナーと契約を結んだりします。基本は日本とあまり変わりません。
ただロシアの場合、家具・家電は引っ越しの際は基本的に持っていかないので、
引っ越しのハードルが低く、賃貸の流動性は高いように思います。
賃貸費用は、サンクトペテルブルクの底値が月21,000ルーブル(地下鉄駅有、40㎡以下、1LK)くらい。今の為替レートで、約¥40,000。
初月はこれに敷金一月分と、エージェントへの手数料を支払うことになります。
ちなみに、自分の場合は月23,000ルーブルで、少し安くしてもらったエージェントへの手数料が、9,000ルーブルでした。
この不動産仲介ビジネスに切り込むのが、”Локарс”(英:The Locals)です。
ビジネスモデル自体はいたってシンプルです。仲介業者を介さずにアパートメントを探す人と、借り手のいないアパートメントのオーナーをプラットフォーム上でマッチングというもの。
サービスローンチは2011年。ファウンダーのダニーラ(露:Данила Антоновский)は、元々モスクワ国立大学歴史学科のスーパー文系です。大学卒業後に4年ほどPRの会社で働いた後、
GQという雑誌にフリーランスで記事を書くようになりました。
ジャーナリストの傍ら、不動産についてブログを書いていると、そこにアパートメントの募集を載せてもいいかという連絡が入るようになります。1日に5件以上の問い合わせが来るようになって、サービスを立ち上げることにしました。
このマッチングプラットフォームの特徴は、
- アパートメント募集の掲載は無料
- 利用者の登録料無料
- 賃貸契約時にЛокалсへの手数料発生は無し
では、どこでマネタイズするかというと、オーナーに直接電話をする時点で、
費用が発生します。つまりデータベースアクセスに課金されるということです。
また2012年時点では、保険会社と提携も検討していました。入居する際に、
不動産保険に加入するオプションを提供して、保険会社とのパートナー契約でマネタイズする仕組みでしたが、これについては現在機能していないようです。
引っ越し業者の広告掲載も検討していましたが、こちらも実現はされていません。
UIからして広告が掲載されると、デザイン性を失うからでしょうか。
2012年の時点で、サイトには1日7,000〜8,000のアクセスがありました。
さらに現在はモスクワだけでなく、サンクトペテルブルク、カザン、キエフとサービス範囲を広げています。
今はサンクトペテルブルク住まいですが、将来モスクワに引っ越す際は、
Локалсを使ってみようかと思います!
インタビュー記事→
ロシアのITベンチャー、スタートアップ、WEBサービスを紹介!
2016年9月からロシア・サンクトペテルブルクに移住しました。
前職は日本の某EC大手です。
せっかくなので、ロシアのWEBサービス・スタートアップについて、
日々、このブログで紹介していきたいと思います!
「○○系が知りたい!」というのがあれば、コメント欄に書いてください。