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6つのロシアスタートアップ失敗談

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こんにちは!SAMIインターン1期生のちあきです。SAMIインターンをしながら、ロシアのスタートアップについて勉強中です。

日本の投資家の方々は、どんなチームに投資しているのでしょう。そしてスタートアップにとって、チーム作りで大切なことは何なのでしょう。どんな悩みを持っているのでしょうか。日本の事も気になります。

今回は、ロシア人のスタートアップ創設者のお話を、失敗から学んだ教訓と共にご紹介したいと思います!

この記事は、教育オンラインサービスを展開する、ロシアのスタートアップ「Puzzle English」PRマネージャーのエレナ・アブラモワ氏が、投資を受けた後のビジネスの成長過程について、6名のスタートアップのファウンダーにインタビューしたものです。

 

 

1.利益の出ることにお金を費やす

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マリア・モギルコ氏。「Lingua Trip」の創設者。プロジェクトは2015年に500のスタートアップそれぞれから10万ドルを受け取った。Lingua Tripは、子どもから大人までの外国語教育、海外留学をサポートするサービスである。世界178都市524の公認の語学学校、2029の学習プログラムから自分に合ったコースを検索できるオンラインサービスも展開している。
ロシアでの外国語教室公式サイト(ロシア語のみ) http://linguatrip.ru/
オンラインサービス(英語対応) https://linguatrip.com/es/

 

ファンドレイズするスタートアップは時折、思慮の浅い実験をしてしまう。「さあすぐに数十万ドルここに投資して何が起こるか見てみよう」という具合だ。ここに重大な間違いがある。メトリック(目的達成までの道のりや、そのために必要なこと)に注意を払っていないのだ。

 

重要なのは、それぞれのチャネルがいくらお金をもたらすかを明確に理解していることだ。すべては小さな実験から始まる。そして、我々はそれをよく観察し、結果に基づいて、このチャネルに大きな金額を本当に投資すべきかどうか決める。

 

 

2.多くを費やすな、カギとなるメトリックを測れ

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アレクサンドル・アストロフ氏。「Eureq」の創設者。「eureq」は、ロシア連邦のすべての小中高等学校のための「電子教科書」という斬新なプロジェクトの実現に向けて、アンドロイドアプリ開発に取り組むチームを探している。(現在はアンドロイドとアイフォンの両方でのサービスの展開に成功している。)
公式サイトはロシア語表記のみ。http://eureq.com/

 

私たちのプロジェクトは2017年春にプロダクトの発展と大多数の学習者(小学生から高校生)へのローンチに向けて投資を受けた。当初、私たちは投資家の戦略に則ってたくさんの教科書の電子化と多くの機能追加を行った。これに6か月費やした。サービスローンチ後の学習者の反応から、プロダクトは大幅に修正しなければならなかった。大部分の時間を無駄なことに費やしていたのは明らかで、私たちはマネタイズ方法を探す道のスタート地点にいたにすぎなかった。

 

状況を修正するために、私たちは素早く細かい変更モデルを採用し、新たな利用者(学習者)で各サイクルを確認し、評価を加えた。私たちはプロジェクトを成功に導くために伸ばすべき3つの重要なメトリックを選んだ。

 

  • リテンションレート、アプリ利用者の回帰率
  • アプリを使うときの継続時間

結論はいつも簡潔だ。お金が膨大であるほど間違いも甚だしくなる。

 

3.まず将来性のあるプロジェクトをローンチせよ

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アレクサンドル・アノトノフ氏。オンライン教育サービス「Puzzle English」の創設者。ウェブサイトとスマーフォンアプリでの英語の自発的な学習(読み・書き・発音)をサポートするサービスを展開する。公式サイトは英語対応している。https://puzzle-english.com/?lang=en

 

 2014年我々はVCの SOL ventures(1) と Genezis Technology Capital(2) から50万ドルを調達した。強力なチームを組織して、私たちはいくつかのプロダクトを同時に開発し始めた。2016年プロジェクトは赤字になり、赤字事業の拡大を凍結させなければならなかった。私たちの経験から、すべてのアイデアをすぐに実現したいと思っても、まずは最も将来性のあるものだけをローンチしなければならないということが分かった。

 

私たちに開示された2つ目の教訓は、管理モデルの選択についてだ。プロダクトを開発している一人の社員に対して2,3人のマネージャーが付いているという運営管理モデルはスタートアップにとって許されがたい贅沢だ。

 

私たちが急速に成長し、利益を生むプロジェクトになれたのは、強力なチームのおかげだったと確信している。 2015年末までに200万人の登録ユーザーを抱えている(2014年初めで6万人の登録だった)。この成果によって、2016年はチャレンジングな収益計画を作成した。私たちはここで設定した目標を達成するために新入社員を雇ったが、プロジェクトの成長のポテンシャルを評価するところで間違いを犯し、コストをカバーすることはできなかった。その結果、プロダクトマネージャー、つまり自身は何も開発せずにエンジニアをコントロールしていただけの従業員を辞めさせることになった。

 

※1: 初期の開発段階にある前途有望なITやEコマースのプロジェクトに投資するベンチャーファンド。公式サイトは英語対応している。http://solventures.ru/en/

 

※2: ロシア、CIS、米国、欧州、アジアを対象としたハイテクプライベートエクイティファンドおよびベンチャーキャピタル。プロジェクトにおいてアイデア段階からグロースステージにかけて、平均して30万ドルから200万ドルに投資する。公式サイトは英語対応している。http://geneziscap.com/

 

4.ヨーロッパのモデルのコピーになるな

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ドミトリー・リバルチェンコ氏。「Autospot」の共同創設者。新車を選ぶ段階から、割引価格での購入に至るまで顧客をサポートするサービスをモスクワ、ペテルブルク、ソチの3都市で展開する。プロジェクトは2014年の夏、SOLventure を始めその他複数の投資家から投資を受けた。公式サイトはロシア語表記のみ。https://autospot.ru/

 

私たちの重大な間違いは、このプロジェクトがヨーロッパの成功したビジネスモデルのコピーだったということだ。MVP(※3)も十分早くに作り、最初の資金調達もでき、私たちはマーケティングを加速させ始めた。残念ながらその過程で分かったことは、プロジェクトは国内市場にローカライズさせるだけでは不十分で、絶対的にすべきその他のことがある。例えばまず、サイトで利用者が気に入った車を見つけて証明書を受け取り、それを持ってディーラーに行く。そこではその利用者には証明書通りの価格で車が販売されなければならない。

 

しかしながら、価格は急激に変化しており、ディーラーがそれを確認していないことが多く、さらにディーラーの多くは概して私たちの存在を知らなかった。購入手続きの全ての段階で私たちは顧客とコンタクトを取らなかったので、購入に至るまでに顧客に何が必要かということに関する情報は一切受け取ることができなかった。そういうわけで2014年末にプロジェクトはクローズし、「飛躍する」ことはなかった。一方で、プロジェクトの創設者は果敢な決断をした――プロジェクトを組織し直すというのだ。それから2015年十分価値のある顧客サービスのある新しいサイトが誕生した。利用者は電話で認証され、ほぼ手動で必要なディーラーに情報が伝えられた。

 

2016年私たちは良い成長速度を維持していた。一方で、この顧客サービスで仕事量が増大したことにあとで気付いた。これによって私たちにまた新たな教訓を得るのだが。

 

人的要因をちゃんと計算に入れ、組織の中の全ての部門と段階での生きた繋がりを維持せよ―上辺だけの数値は起きていることの全貌を教えてはくれない。

 

2016年の第四四半期で私たちはパラメータ(「良い」申込の割合、セールスのコンバージョン、フィードバックの質)が低下していることに注目した。まず第一に、トラフィックが十分に伸びているため、その品質は必然的に悪化してしまう。12月のピークの売上と業務負荷をなんとか生きながらえ、2017年の戦略を採用し、新たな投資を受けた後、私たちは戦闘に突入した。もちろん、トラフィックは大幅に増加し、成長したが、売上は伸び悩んでいた。高いクオリティのトラフィックなのに!

 

落とし穴は意外なところにあった。顧客サービスに従事していた4人が愚かにも仕事にきちんと対処していなかった。正確には、できる範囲で対処はしていたが、顧客とのコンタクト数と時間を徐々に減らしていた。ここで最も効率の悪いコンバージョンが起きていたが、「計画」は修正されながら実行されていった。

 

私たちは、各従業員の能力を増強するために、人員確保、顧客サービスのスクリプトアルゴリズムのアップグレードを最大限に素早く行う必要があった。そういうわけで、5月にはスタッフ15人と顧客サービスのリーダー、更新したてのスクリプトCRM(※4)のたくさんの新しい基準を準備していた。このように絶え間なく人的資源を補充している。

 

※3 Minimum Visible Product(実用最小限の製品):MVPとは、製品を提供する上で必要最小限の機能のみをもつ、もっともシンプルな製品を指すが、一般的には「顧客価値があり、利益を生み出せる最小限のもの」と考えられている。

※4 Customer Relationship Management:売上・利益に貢献する“優良客”を増やしてビジネスを成功に導く顧客志向のマネジメント手法。

 

5.市場の条件で働く準備を 

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アルカディ・メシュコフスキー氏。モノのレンタルプラットフォーム「Rentmania」のCEOで創設者。プロジェクトは2014年にインターネットイニシアチブ開発基金からの投資を受けた。サイトのカタログには1000点以上の品が登録されており、お金を払って品を借りることができる。

サイトはロシア語のみ。https://rentmania.com

  

私たちは「無駄遣いしない生産」方法を堅持しているため、私たちの計画書には調達資金の使用用途が1ドル単位にまで分けて記された。私たちの失敗は資金調達についてメディアが広く報道したことだ――トラフィックを稼いでくれる業者がスタートアップ向けの特別に安い条件で働くことを拒み始めた。私たちは代理店から高額なPR手法の提案を受けることになり、また提携していたトラフィック業者も条件の再検討を申し出てきた。

 

私たちは契約していた業者に現実を伝え、他の業者も探すはめになった。それからトラフィックマネジメントという部門も組織し始めた。

 

1か月間のマーケティングに使える予算を再編成して、クリック広告の代わりに、バイラルマーケティングとコンテンツマーケティング、リターゲティングに重点をおいた。注文数を減らすことなくリスティング広告への依存度を下げることに成功した。

 

投資家との契約をアナウンスするか否かと問われれば、それでも私たちは「Yes」と答えるだろう。私たちにとっては、将来の投資家との輪を広げるために、資金調達のニュースが拡散されることはより重要なことだった。

 

6.はじめは専門家とのみ働け

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アレックス・コビチェフ氏。ベビーシッター検索のオンラインサービス「SittersGlobal」の創設者。SittersGlobalとは、子供のためにビベーシッターを探す親とベビーシッターとして働きたい人のマッチング無料オンラインサービスだ。サイトは英語対応もしている。https://www.sittersglobal.com/ru-ru

 

プロジェクトの開発には、はるかに多くの時間がかかっていた。というのも、私たちは最初からジュニアエンジニアに頼りすぎていたからだ。経験豊富な専門家をすぐに雇う必要があった。プロセスが一旦開始されていれば、ジュニアエンジニアたちにもっと多くの仕事を与えることが可能だったはずだ。

 

その結果、私たちは時間を無駄にし、市場の独占に失敗し、非常に強力な競争相手が現れた。 それは ベビーシッターケアを見つけるサービスで彼らのサイトは私たちのものと似ていた。彼らは専門のエンジニアを集め、すぐに数十万人の訪問者を抱え、1億2,000万ドルの資金を調達した。

 

***

 

いかがでしたでしょうか?

油断しているとうっかり落とし穴にはまってしまう、ということがよくわかりました。
投資を受けると万事オッケーということではなく、成長段階では一度落ち着いて、チームを見渡してみることが必要なんですね。

投資家の視点としても、表立ったプロダクトだけでなく、どんなチームなのか、どんな問題を抱えているのかを見極める”眼”が大切なんですね。

限りある資金を有効に使うためには、投資する側も、される側も、やはり目先の結果に囚われてはいけない、ということがよくわかりました!

 

 

原文:https://rb.ru/opinion/oshibki-startapov/

 

 

 

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