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ロシアにおける特許出願状況

移転しました。

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一年間の特許出願数でも中国が日本を追い越しそうになっています。特許はロシア語で、Патент(日:パテント)と言いますが、気になったのでWIPO世界知的所有権機関)の統計でロシアの特許出願状況を調べてみました。

 

 

特許出願数は1位はダントツ中国、ロシアはトップ10入り

 2016年までに、ロシアで特許出願されたのは41,587件。そのうち、約35%は海外からの国際特許出願なので、ロシア居住者によるロシア国内向けの特許出願数は、約3万件強です。2015〜2016年にかけて、ロシアでの特許申請数は-8.6%となり、ロシア居住者による特許出願数の減少が理由としては挙げられています。

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出典:WIPO

 

ロシアの特許出願数は、1995年と比べて着実に伸びてはきていますが、中国(約70倍)や、イラン(約40倍)と比べると、出願数が大きく伸びているとは言い難い状況です。これは、ロシアにおける知的財産権に対する認識や、知財戦略への動機付けがまだまだできていないからだと言われています。

ちなみに、日本は2005年頃から毎年の特許出願数は減少の一途を辿っています。

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出典:WIPO

 

 一方で、ロシアと日本は世界的にみて、特許取得比率が高いのが特徴です。ロシアでは、特許出願数と特許審査官の数のバランスがよく(欧州オフィスや韓国も同様)、特許審査において特許出願から審査結果が出るまでの期間の短縮に成功しています(平均して10.3ヵ月。特許出願数TOP10の国々においては最短。)。

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出典:WIPO

 

ロシアにおける特許出願数と特許審査人の推移

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出典:WIPO

 

ただ、裏を返せば、取得率が高く、審査結果までの期間が短いにも関わらず、特許申請数が伸びないのは、やはりそこに価値を見出している人が少ないからと言えるでしょう。

ロシアでは特許権を持っていたとしても、差止請求権の行使が、事実上不可能である為、特許出願は無意味であると主張している人もいます。

habrahabr.ru

 

ロシアの特許出願における特徴の一つに、出願人の女性比率の高さが挙げられます。

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出典:WIPO

 ロシアは男女比で女性の方が多いというものありますが(男:女=0.86:1)、ここでも、強いロシア人女性像が垣間見えるような気がします。

 

上記の女性出願人は、主にバイオ、化学、製薬分野での特許出願が多くなっており、ロシア全体で見ると、食品化学分野での出願が多くなっています(13.2%)。

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出典:WIPO

 

 

いずれ機会があれば、特許取得プロセスについてもまとめてみたいと思います。

 

出典レポート→

http://www.wipo.int/edocs/pubdocs/en/wipo_pub_941_2017.pdf

 

 

 

地図で見るロシアハンドブック

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