【まだ日本人の知らないロシア・スマートシティプロジェクト in ボロネジ!】
移転しました。
今回は日本人の多くがまだ知らないであろうロシアはボロネジでのスマートシティプロジェクトについて紹介します。
皆さんはロシアにおけるスマートシティプロジェクトの取り組みについてご存知でしょうか?
そもそもスマートシティプロジェクトとは、IoTやIT技術を用いて環境に良く住みやすい都市形成を目指すプロジェクトで、日本では既に横浜市、豊田市、京都府けいはんな学研都市などで取り組まれています。
2016年5月の日露首脳会談で提案された8項目の協力プラン、その中の一つが「快適・清潔で住みやすく,活動しやすい都市づくり」という項目です。日本の建築やITの技術を用いてロシアのインフラを整備することを目的とし、現在では具体的にスマートシティの形成に向けて様々な事業が行われています。そこでモデル都市に選定されたのがボロネジとウラジオストクでした。
今回はこのモデル都市の一つ、ボロネジでのスマートシティについて見ていきましょう!
①ボロネジってどんな街?
ボロネジ(Voronezh)はロシアの首都モスクワから南に500キロメートルのところに位置する都市です。モスクワから飛行機で約90分、列車では最短6時間で行くことができます。ロシアでは20位以内に入る大都市で、2012年に人口100万人都市となりました。
工業や農業が盛んな他、近年ではソフトウェア産業や大学都市として知られています。
②なぜボロネジ?
ではなぜボロネジがスマートシティプロジェクトのモデル都市に選ばれたのでしょうか?
まず1つ目に、ボロネジがロシアでも有数の大学都市であるからです。
ボロネジの街を歩いてみると、多くの学校と学生を目にします。ボロネジはボロネジ州立大学(Voronezh State University)をはじめとし、多くの大学や専門学校が集まる街としてロシア人の間で知られているのです。
特にエンジニアや物理、化学、数学の分野で優秀な人材を輩出しています。
例えば、ボロネジ技術大学(FSBEI)ではプーチン大統領による「若手科学者の支援環境に関する取り組み要請」をロシアで初めて導入しています。
また、ボロネジ州立大学はBRICS UNIVERSITIES の大学ランキングトップ10に入っており、2018年10月にはロシア企業ロステクと共同でAI開発センターを設立。人工知能研究と研究者の育成に力をいれています。
そして2つ目の要因は、ボロネジが今まさに成長している街だからです。ボロネジ地域のGRP成長率は11.4%でこれはロシア全体のGDP3% という数字を大きく上回っています。さらに、プーチン大統領が発表した投資誘致整備が進んでいるロシアの地域トップ10の中にもボロネジはランクインしています。
③具体的な取り組みは?
では、スマートシティプロジェクトとしてボロネジでは現在どのようなことが行われているのでしょうか?具体的な事例を見ていきましょう。
まず、スマート信号について。ボロネジ市と日本の三京製作所が協力して、スマート信号を設置するパイロットプロジェクトが現在進められています。これは、信号につけたセンサー技術を利用して交差点の状況を分析し深刻な渋滞問題を解消しようというもので、すでに青信号の平均待ち時間が28パーセント減少したという成果が出ています。
2つ目に、スマート住宅。日本のナイスグループによって2017年に日本のスマート住宅がボロネジに建てられました。この住宅はICT技術、省エネ、蓄エネなどを組合せ、エネルギー効率を良くし、安全で快適に暮らせるように設計されています。
この他にも、日本の技術を用いた下水道交換や地下鉄の建設も計画されています。
いかがでしたか?
ロシアでのIT、スタートアップの勢いはまだまだとどまることを知りません。
これらのテクノロジーを都市開発と結びつけたのが、まさにこのスマートシティプロジェクトなのです。モスクワやサンクトペテルブルクのような大都市だけでなく、今回紹介したボロネジなどの地方都市でも日本企業とのコラボレーションが今後増えていくことが期待できるかもしれません。
(執筆・写真:打越 まどか / 編集:田中 真奈美)