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ロシア最大規模のスタートアップイベント【オープンイノベーションフォーラム】

移転しました。

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10月21日から23日にかけて、モスクワ郊外にあるロシア版シリコンバレースコルコボで、【オープンイノベーションフォーラム】が開催された。これはスコルコボ財団が主催するロシア最大規模のスタートアップイベントの一つで、3日間の来場者数は約2万人を誇る。世界各国の企業がブースを設置したり、100を超えるスタートアップが自社製品や技術の展示・紹介を行った。

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photo by skolkovo

日本からはロシアNIS貿易会(ROTOBO)が日本ブースを担当し、SAMIは同ブースで参加者向けにセミナーを行った他、各ブースを見て回るミニツアーでは日ロ企業の間に入って通訳も行った。また、全体プログラムやイベントページの作成、集客用のチラシ作りから、リバース・ピッチなどのイベントの企画・運営を行った。

 

 

 

1) オープンイノベーションフォーラム会場の様子

同フォーラムの会場は巨大で、また、出展されたブースの数は計り知れないが、会場を大きく2つに分類することができる。

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photo by skolkovo

1つ目の分類はスタートアップのブースだ。これらの写真に写っているブースすべてスタートアップで、小さなスペースに自社が開発した製品や試作品などを展示している。ブースの前にはスタートアップのスタッフや開発者が立っており、彼らから製品の詳しい説明を直接聞くことができる。また、パンフレットや名刺も置いてあり、 自由にとることが可能だ。

右のスタートアップブースは、ロシア全土にあるいくつかのテクノパークから出展している。

 

 

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そして2つ目の分類は、政府系のものや大企業などのブースだ。こちらのブースでは、スタートアップとのパートナーシップを目的として、それぞれ独自のプログラムを展開する

また、ミーティングスペースを用意しており、その場ですぐに商談を行うことが可能だ。

日本ブースは、こちら側の会場に設置された。

 

 

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photo by skolkovo

また、会場内にはいくつかのオープンステージがあり、そこでディスカッションやプレゼンテーションなどのイベントが開催された。

こちらのステージでは、日本企業向けスタートアップピッチ『EAST BOUND』が行われ、いくつかのロシア スタートアップが日本の参加者に対し、自社製品のプレゼンテーションを行った。

 

 

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photo by skolkovo

展示されているものの中には、参加者が実際に触って体験できる物も多く、参加者を退屈させることはなかった。

 

 

2)日本ブースのSAMIが提供したサービス

3日間にわたり開催されたオープンイノベーションフォーラムに、日本側の企業・団体が参加したプログラムの全容は以下の通り。

 

1日目

・ロシアスタートアップエコシステム概要セミナー @日本ブース

・ミニツアー①

・リバース・ピッチ① @日本ブース

・ミニツアー②

 

2日目

・ビジネスセッション①「日本におけるデジタルフォーメーションと新たなビジネス」

・ビジネスセッション②「日本とロシア テクノロジー投資の可能性」

 

3日目

・日本企業向けスタートアップピッチ『EAST BOUND』

・リバース・ピッチ② @日本ブース

 

この他にも、各自でミーティングやスタートアップの視察などが行われた。タイトなスケジュールではないため、気になったスタートアップなどと個人的に情報交換などを行う時間があり、参加企業・団体にとっては有意義なイベントとなった。

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次に、これらのプログラムの中でSAMIが特に関わったものを順に紹介。

ロシアスタートアップエコシステム概要セミナー

同イベントにおいて日本ブースで最初に行われたプログラムは、Innovations Bridgeの3社によるセミナーだ。オープンイノベーションフォーラムが開催される3日間、ロシア圏のスタートアップを視察していく上で、ロシアのスタートアップはどのようなものなのか、ロシアスタートアップへの投資における有益な情報などについて、参加企業・団体向けにプレゼンテーションを行った。

 

*Innovations Bridgeとは

2019年4月11日、Russian Venture Forumにおいて、SAMIPulsar Venture CapitalSkylight Consultingの3社が、日ロのスタートアップエコシステムをつなぐ架け橋になることを目的として、タタールスタン共和国大統領、在モスクワ日本大使館立ち会いのもと、設立された。

日ロのスタートアップや投資家に対し、新たな市場への参入をサポート、また、両国間のトランスファーテクノロジーを後押しする。そして、日ロテクノロジー投資分野における成功事例の創出、スタートアップのエコシステム強化、日ロ間における税務や法務、また、技術的な関連性の専門知識を拡大させることを目標としている。

thebridge.jp

 

プレゼンテーションリスト  *プレゼンテーションのタイトル/氏名

【ロシアスタートアップエコシステムと各プレイヤーについて】

  SAMI 代表取締役社長 牧野 寛

【NTIとロシアのデジタル国家戦略】

  Skylight Consulting リードエキスパート 小川 育男

【Innovations Bridgeの紹介と海外投資家向け露スタートアップ投資について】

  Pulsar Venture Capital 代表取締役 Pavel Korolev

 

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ミニツアー

2回に分けて行われたミニツアーでは、オープンイノベーションフォーラムの会場を視察した。事前に興味・関心の分野ごとに参加者を4つのグループにわけ、それぞれInnovations Bridgeのスタッフが同行。スタートアップの技術トレンドや、ブース出展している各スタートアップ支援組織の補足説明などを行った。また、グループごとに2~3のスタートアップブースに訪問し、説明を受け、参加者は質問などを行った。各グループに日ロ通訳者が同行し、SAMIのスタッフも通訳を行った。

 

このミニツアーいくつかのブースを見て回り、ロシアのスタートアップと日本の参加者らがお互いに意見や情報交換をしたが、その中でパートナーになり得る、もしくはもっと深い話がしたいといった場合、ミニツアーの後で個人的に話し合いを行った。SAMIとしては個人的な話し合いのなかでも、通訳やアドバイザーとして携わった。

 

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リバース・ピッチ

SAMIが企画・運営したイベント「リバース・ピッチ」は、21日と23日の2日間に分けて行われた。時間はそれぞれ2時間程度。参加者(スピーカー)は総勢8名に及び、各企業の分野や傾向、実態などのプレゼンテーションを行った。

 

参加者(スピーカー)リスト  *プレゼンテーションのタイトル/企業団体名

1日目

【Global Open Innovation by Sumitomo Chemical】住友化学

【Exploration in Russia to Accelerate Innovation】ADLジャパン 

【How IP Can Increase Corporate Value Dramatically】IP Bridge

鳥取県で先端テクノロジーを活用した研究開発を進める企業群】鳥取県 

 

2日目

Toyota Tsusho Mobility challenge】豊田通商

【Challenges in smart factory and AI application cases】ISID

【ヘルスケア・人材育成分野における共同開発の提案(日本市場向け)】Technosolution

【How IP Can Increase Corporate Value Dramatically】IP Bridge ※1日目と同様

 

リバース・ピッチの成果

リバースピッチの最大の魅力は、スタートアップ企業が不特定多数の投資家にピッチを行うのでなく、事業会社がプロジェクトを探しているビジネス領域や技術領域をプレゼンすることで、スタートアップと事業会社のマッチング精度を飛躍的にあげることができる点にある。
また、プレゼンテーション後のQ&Aセッションでは、ロシア側の参加者から、プレゼンテーション資料に関する具体的な質問や、企業の取り組みに関する質問などが見受けられた。スピーカーはそれらの質問について熱心な回答をし、質問者を頷かせた。
プレゼンテーションを聞いていたスタートアップや投資家は、質問に関する回答を踏まえた上で、プレゼンテーション後すぐにスピーカーの元へ行き、ネットワーキング、そして、個別商談を行った。

 

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3)最後に

今回の3日間にわたって行われた「オープンイノベーションフォーラム」で、多くの日本企業および団体が、ロシアのスタートアップ、そしてロシアの最先端テクノロジーに興味・関心を抱いていることが分かった。また、ロシアのスタートアップも日本企業との連携を強く望んでおり、ビジネスセッションリバース・ピッチには多くの聴衆がつめかけ、積極的に質問や商談を行っていた。

 

SAMIは、日ロ両国の企業がパートナーネットワークを構築し、良好な協力関係を築き上げていくことを強く望み、それらを全力でサポートをしていく。

 

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