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【イベントレポート】シベリア・イノベーション分野交流セミナー

移転しました。

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11月18日から20日にかけて、ロシアNIS貿易会(ROTOBO)が札幌市および北海道経済産業局と協力し、IT・イノベーション分野を対象としたビジネスセミナーをノヴォシビルスクで開催した。ノヴォシビルスクはロシアのシベリアに位置しており、同地域では最大の都市である。また人口は約160万人で、モスクワ、サンクトペテルブルクに次ぎ第3位である。さらにノヴォシビルスクには「アカデムゴロドク」という巨大なアカデムパーク(テクノパーク)があり、数多くの研究機関および教育機関が集結している。

さらに、ノヴォシビルスクは北海道札幌市と姉妹都市提携を結んでおり、ノヴォシビルスク市内にはシベリア-北海道文化センターが置かれている。

今回のセミナーに札幌から多数の企業関係者や団体、メディアが参加した。

 

 

スケジュール

1日目

午前 アカデムパーク訪問・視察

午後 ノヴォシビルスク州政府デジタル経済部門関係者との面談

2日目

午前 ノヴォシビルスク国立大学訪問・視察、日本のIT市場に係るセミナー

午後 AI分野協力セミナー

3日目

午前 INPARKフォーラム参加

午後 人材マッチングイベント

 

 

アカデムパーク訪問・視察

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1日目の午前中はアカデムパークの施設を訪問した。まず初めにメインビルディングを視察し、職員がアカデムパークの概要を説明した。この学術都市にはノヴォシビルスク国立大学のキャンパスも置かれているため、研究者やエンジニアだけでなく教員や学生も多く住む。敷地内にはここで働く人のための住居があり、店、カフェ、レストラン、クラブ、映画館、図書館や劇場なども存在する。

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概要の説明を受けた後は、実際に使われているいくつかのオフィスを視察。開放的な雰囲気で、参加者から思わず「いいなぁ」「ぜひ参考にしたい」という声が多く聞かれた。また、展示されていたソ連時代のラジオや新聞、カメラなどを興味深く写真に撮る姿も見られた。

 

アカデムパークについてはこちら→

russiabuzz.hatenablog.com

 

 

ノヴォシビルスク州政府デジタル経済部門関係者との面談

午後は、ノヴォシビルスク州政府のデジタル経済部門関係者と日本企業・団体で面談を行った。当初の予定では、ノヴォシビルスク州政府デジタル経済部門を訪問する予定であったが、面談での州政府関係者の参加が急遽増えたため、ホテルの会議室で面談を行った。

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初めに、スカイライトコンサルティングの小川氏が日本国内のスマートシティの取り組みや傾向についてプレゼンした。

次にフュージョンの松尾氏が自社で行っている札幌市のスマートシティについてプレゼン。

最後にテクノソリューションの坂口氏がライフケア分野での共同開発及び人材育成についてプレゼンを行った。

3人のプレゼン後に、調和技研と一寸房の代表からそれぞれ簡単に事業紹介を行った。

 

これらの発表を聞いてロシア側から、「事業や取り組みの概要、紹介ばかりでなく、問題点はどこか、強みと弱みは何か、そして具体的にどのようなロシアの人材を求めているのかという明確なものを言っていただければ、こちらとしてもそれに合った人材とのマッチングをサポートしていけるだろう」という意見がだされた。

この面談後に各自名刺交換を行った。

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ノヴォシビルスク国立大学訪問・視察

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2日目の午前中はノヴォシビルスク国立大学を訪問し、そこでは数多くの展示資料とともに同大学の歴史などが紹介された。また大学の博物館では、隕石や鉱物、恐竜の化石や火山などの展示とともに地理学の説明がなされた。

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その後は会議室に移動し、同大学の幹部らと日本のIT市場に係るセミナーを行った。

日本側からは初めにスカイライトコンサルティングから小川氏が、続いてテクノソリューションの坂口氏がプレゼンを行った。

ロシア側からは、ノヴォシビルスク国立大学情報技術学部学部長が同大学で実施しているIT人材育成の特徴とITビジネス業界との協力についてプレゼン。

その次にシブアカデムソフト協会会長(兼 SoftLab-NSK社長)がシブアカデムソフトとのパートナーシップについてのプレゼンを行った。

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このプレゼン終了後の意見交換では、ノヴォシビルスク国立大学の高度なIT人材育成プログラムを同大学と共同して日本に適用もしくは応用することが可能かどうかなどの議論が活発に行われた。大学側はそれについて、とても前向きな姿勢を示し、今後とも連絡を取り合っていくことを約束した。

 

 

AI分野協力セミナー

昼食を終えた午後、先の会議室に戻り、AI分野協力セミナーが行われた。

日ロ双方合わせて8名がAI分野についてプレゼンを行い、お互いのAI技術を上手く活かして協力できることなど、深い議論がなされた。プレゼン後にはそれぞれ名刺交換を行い、今後お互いに検討しながら話を進めていくことを約束した。

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INPARKフォーラム参加

3日目の午前はノヴォシビルスクのマリオットホテル内で開催された、工業団地や投資に関する国際フォーラムに参加。こちらは自由参加であったので、少数の企業のみ参加した。

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スピーカーはロシア連邦政府の地域産業局長やイノベーション局長、投資局長、さらにロシア工業団地協会共同議長や自動車製造企業の社長などで、工業団地への外国の投資額や例年比、企業の誘致などの議論が行われた。

レセプションでは、参加者との会話があった。

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人材マッチングイベント

夕方頃に、北海道経済産業局主催、シベリア・北海道センター協力のもと同センターにて、日本で働きたいノヴォシビルスクの学生やエンジニアなどを集めて面談が行われた。

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ノヴォシビルスクの参加者はおよそ40名、日本からは4つの企業が参加し、うち1つは札幌からビデオ通話をして面談を行った。面談の参加者はそれぞれの企業のところへ座り、企業の説明を聞く。そして興味のある企業があれば、アンケート用紙にチェックをいれて主催者に提出。また企業側も、参加者らに質問などをし、興味のある人材がいればアンケート用紙にチェックをいれ、主催者に提出。これにより双方参加者をマッチングさせる。

 

 

おわりに

今回のセミナーで特に印象に残ったことは、ロシアには優れたエンジニアが数多くいるが、それはやはりロシアがIT人材育成に力を入れているからなのだと確信した。大学から高度な教育をさせているのではなく、子供の時からITなどの分野を学ぶ機会を提供し、教育させている(塾のようなもの)。

人材不足が叫ばれている今の日本で、技能実習生だけでなく高度人材の受け入れも拡大しているため、今後は日本がロシアの優秀なエンジニアを積極的に受け入れしていくのではないだろうか。そして多くの日本のIT企業がロシアに目を向けることを期待したい。

 

(執筆・写真撮影:木島 練音)