SAMI

ロシアのITベンチャー、WEBサービス、起業家、スタートアップを紹介します。

質にこだわるお手伝いサービス”YouDo”

日本でもTIMETICKETや、ANYTIMESなど空いた時間を使って、自分の「得意」を売るサービスが流行っていますよね。

TimeTicket[タイムチケット]

ANYTIMES : あなたの近所で「得意」を売り買いしよう


 

 

今回は、ロシアで急激に利用者を伸ばしているYouDOをご紹介します。


日常の問題解決に!
お手伝いマッチングプラットフォームのYouDO 

 

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youdo.com



ロシアでは、エージェント会社を通して、専門家に依頼することが一般的ですが、
サービスの質がまちまちだったり、中間手数料を取られて、
高額請求に発展することがあります。

 

 

その解決方法として、CtoCプラットフォームに目をつけたのが、YouDOです。


現在、問題としてカテゴリ登録されているのは、16種類。サブカテゴリまで含めると、100種類以上の項目から選択することができます。

 

カテゴリは、部屋の掃除などの日常的なものから、サイト制作など専門性の高いものまで、幅広くメニューが取り揃えられています。

 

以下は、実際の利用方法です。

 

【依頼者が自ら問題を提示する場合】

  1. 依頼者が自分の問題をYouDOに登録します。手伝って欲しいことをカテゴリから選択肢、日付・期間・料金などの情報を入力します。
  2. 入力された情報から、サービス提供者が提案を送ってきます。
  3. 提案の中から自分にあったものを選択して決済します。

    ↓申し込みフォーム

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    ↓問題がカテゴリ毎に列挙されている。
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    ↓説明動画

    Как создать задание на YouDo


【カテゴリから受注者を選択する場合】 

  1. カテゴリからサービス提供者を選択します。
    カテゴリ別に目安料金が表示されています。

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基本的に、依頼者は手数料無料でこのサービスを利用できます。
サービス提供者が支払う料金体系は、以下の2パターンのいずれかを選択できます。

  1. 問題に対しての提案送信  *20ルーブル〜 / 1提案あたり
  2. 提案回数無制限方式  *4〜281ルーブル / 1日あたり 
    *カテゴリによって値段が変動する

↓無制限方式カテゴリ別料金表

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例えば、サービス提供者は、複数のカテゴリにまたがって異なる提案を、
依頼者に送る場合、都度提案に対して支払った方がコストが抑えられます。一方、
一つのカテゴリに絞っているのであれば、無制限方式の方が沢山提案を送れますので、お得になります。

 

元々は、1契約あたりに対しての手数料発生(5〜15%)でしたが、
2016年から現在の料金体系に変更されました。

 

険しいサービス提供者への道

ただし、誰でもサービス提供者になれる訳ではありません。YouDOはサービス提供者に厳正な試験を課しています。

申し込みはYouDOのサイトから行えますが、まず書類選考の時点で、犯罪歴や、
クレジットカードの支払い遅延、行政処分など、あらゆる側面から、
信頼にたる人物かどうかが判定されます。書類選考の時点で、60%落選します。
その後、オンラインテストを受け、複数回にわたる面接を突破しなければなりません。


サービス提供者は、約1000人。うち600人がアクティブに活動しています。
また、サービスを利用しているのは、主に都市部に住んでいる25歳以上の、
平均以上の所得があるユーザー層です。登録者数は80万人。うち20万人が、
少なくとも一度は利用したことがあり、3,000人が週に一度は依頼をしています。

現在、1日の依頼数は約2,000件。平均の依頼金額が2,000〜2,500ルーブルです。

 

 

サービスローンチは2012年。ファウンダーのДенис Кутергинは、元々、軍人の家系で育ち、自身も防衛大に通っていました。しかし、インターネットに出会い、
彼は大学を中退し、起業の道を歩み始めます。

 

CtoCプラットフォームとしての再スタート

2009年、Денисは共同創設者のАлексей Гидиримと、今のYouDO.comの前身である、
YouDO.ruをスタートしました。

YouDOは元々、今のCtoCの形でなく、企業のPRイベントをオンライン上で支援する
サービス(例えば、レモンをいかに早く食べれるかを競う動画を掲載する)で、
BtoCがメインでした。

 

2012年、YouDOはYouDO.comとして再スタートしました。ターゲットを企業から、
一般消費者に切り替え、CtoCプラットフォームとしてピボットしたのです。

 

再スタートしたYouDOの勢いは凄まじいものでした。2012年には、
Forbs.ruのスタートアップコンテストで準優勝し、同じサービスを展開していた、Yandex(サービス名「Yandex.Master」)を2015年、市場から撤退させました。

 

 

 前身のYouDO.ruの時から、一度も外部からの投資を受けていないYouDO。
今後は、世界展開も視野に入れているということなので、ますます期待がかかります!

 


インタビュー記事→

www.the-village.ru

www.forbes.ru

レッカー車から愛車を守れ!車両撤去防止アプリの"CrocoDie"

この写真、どこが渋滞部分で、どこからが違法駐車の列かわかりますか?


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ロシアの都市を訪れたことのある人なら見慣れた光景ですよね。

 

ロシアでは数年前まで都市の交通渋滞が非常に大きな問題でした(近年は、交通インフラに莫大な投資がなされ、だいぶ改善されていますが)。交通渋滞の原因の一つに、一般道における違法駐車があります。せっかく片側3−4車線もの広い道路があっても、一車線分が違法駐車で埋まっているなんていうことは、日常茶飯事です。

 

違法駐車を取り締まる行政コストもバカにならないですが、一方で違法駐車の取り締まりは時に、善良な市民までも巻き込んでしまっています。

 

ロシアのレッカー車は駐車可能エリアに止めてある車まで、もって行ってしまうことがあるのです。CrocoDieファウンダーのКсения Загоскинаもそんな被害者の一人でした。

 

ロシア国立観光サービス大学を卒業した彼女は、品質管理の学位を取得し、石油化学製品の工場に完成品を輸出する貿易会社で最初のキャリアをスタートさせます。

 

CrocoDieのアイデアを思いついたのは、彼女の愛車が2度目の言われなきレッカー移動の被害にあった時です。

 

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crocodie.ru

 

CrocoDieは、路上駐車をした運転手にレッカー車の接近を教えるモバイルアプリです。
使い方は以下の通り;

①路上に車を駐車したらスマートフォンでCrocoDieを起動させ、アプリ上の地図で駐車した場所が間違いない事を確認し、緑色のボタンを押します。

②もし、駐車した場所から半径300m以内にレッカー車が近づくと、SMSで知らせてくれます。

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(ロシアでは、レッカー車の撤去作業中にその場にいる事ができれば、車は撤去されず、罰金を支払うだけで済みます。罰金は都市と車の重量によって変動しますが、8,000ルーブル程。現在の為替レートで約¥16,000です。ちなみに東京でレッカー移動されると¥40,000~60,000程度が取られます。)

 

CrocoDieを利用していれば、たとえ撤去されてしまっても、罰金費用は「全額保証」されます。利用料金は、

  1. 75ルーブル(1週間)
  2. 149ルーブル(1ヶ月)
  3. 1,590ルーブル(1年間)
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また、追加の料金体系を選択すれば、撤去されしまった場合の家までのタクシーも無料で手配してくれます。

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では、アプリはどうやってレッカー車の接近を知る事ができるのでしょうか?
実は、CrocoDieでは利用者はレッカー車の写真をとってアップロードする事で、プレミアをもらう事ができます。つまり、利用者は同時にある種の”密告者”の役割を担うのです。

 

オペレーターが写真をみて、レッカー車を確認できれば、利用者は50ルーブルを得る事ができます。

 

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CrocoDieのサービスローンチは2015年。しかしながら、すでに50,000人の利用者がいます。スタート時はモスクワのみでのサービス展開でしたが、現在サンクトペテルブルクを含むロシア10都市にまで利用が広がっています。

 

利用可能都市を広げていくには、現地にパートナーを作り、販売促進やPRを委託します。サービス管理は本社が行います。

 

それ以外にはほとんど広告販促費は使っておらず、ロシアの検索エンジンYandexのリスティングのみだそう。CrocoDieは新しい地域に進出するたびにマスメディアに取り上げられるので、自ら認知度を上げる必要がないようです。

 

今後は、利用地域の拡大だけでなく、海外展開、それから車に関するコンシェルジュサービスの拡充を考えています。

 

世界に目を向けると、違法駐車アプリは存在します。それはサイクリストが考えた違法駐車を取り締まるためのアプリで、違法駐車を見つけると、それをマップ上に記憶させて、レッカー車がくるというもの。

towit.io

 

同じ社会問題でも、ロシア人は全く別の視点からソリューションを生み出しているのが、とても面白いと思いました!


 インタビュー記事→

biz360.ru

 

 

 

 

 

 

仲介手数料無し!アパーメントマッチングの”Локалс”

ロシアに旅行するとホテルに滞在するので、アパートメント事情は現地在住の人でないと、あまりイメージが湧かないかもしれません。

 

ロシアでアパートメントを借りる際は、通常エージェントを介して、物件を紹介されたり、オーナーと契約を結んだりします。基本は日本とあまり変わりません。
ただロシアの場合、家具・家電は引っ越しの際は基本的に持っていかないので、
引っ越しのハードルが低く、賃貸の流動性は高いように思います。

 

賃貸費用は、サンクトペテルブルクの底値が月21,000ルーブル(地下鉄駅有、40㎡以下、1LK)くらい。今の為替レートで、約¥40,000。

 

初月はこれに敷金一月分と、エージェントへの手数料を支払うことになります。
ちなみに、自分の場合は月23,000ルーブルで、少し安くしてもらったエージェントへの手数料が、9,000ルーブルでした。

 

 

この不動産仲介ビジネスに切り込むのが、”Локарс”(英:The Locals)です。

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spb.thelocals.ru


ビジネスモデル自体はいたってシンプルです。仲介業者を介さずにアパートメントを探す人と、借り手のいないアパートメントのオーナーをプラットフォーム上でマッチングというもの。


サービスローンチは2011年。ファウンダーのダニーラ(露:Данила Антоновский)は、元々モスクワ国立大学歴史学科のスーパー文系です。大学卒業後に4年ほどPRの会社で働いた後、
GQという雑誌にフリーランスで記事を書くようになりました。

 

ジャーナリストの傍ら、不動産についてブログを書いていると、そこにアパートメントの募集を載せてもいいかという連絡が入るようになります。1日に5件以上の問い合わせが来るようになって、サービスを立ち上げることにしました。

 

このマッチングプラットフォームの特徴は、

 

  1. アパートメント募集の掲載は無料
  2. 利用者の登録料無料
  3. 賃貸契約時にЛокалсへの手数料発生は無し

 

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では、どこでマネタイズするかというと、オーナーに直接電話をする時点で、
費用が発生します。つまりデータベースアクセスに課金されるということです。

  1. 290ルーブル(1日)
  2. 490ルーブル(5日間)
  3. 890ルーブル(30日間)

 

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また2012年時点では、保険会社と提携も検討していました。入居する際に、
不動産保険に加入するオプションを提供して、保険会社とのパートナー契約でマネタイズする仕組みでしたが、これについては現在機能していないようです。

引っ越し業者の広告掲載も検討していましたが、こちらも実現はされていません。
UIからして広告が掲載されると、デザイン性を失うからでしょうか。

 

2012年の時点で、サイトには1日7,000〜8,000のアクセスがありました。
さらに現在はモスクワだけでなく、サンクトペテルブルク、カザン、キエフとサービス範囲を広げています。


今はサンクトペテルブルク住まいですが、将来モスクワに引っ越す際は、
Локалсを使ってみようかと思います!


インタビュー記事→

www.forbes.ru

ロシアのITベンチャー、スタートアップ、WEBサービスを紹介!

2016年9月からロシア・サンクトペテルブルクに移住しました。

前職は日本の某EC大手です。

せっかくなので、ロシアのWEBサービス・スタートアップについて、

日々、このブログで紹介していきたいと思います!

「○○系が知りたい!」というのがあれば、コメント欄に書いてください。