【ペテルブルク国際イノベーションフォーラム】~日ロビジネスの可能性とは~
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【サンクトペテルブルク国際イノベーションフォーラム】
11月13日~15日にかけて、ロシア第2の都市「サンクトペテルブルク」で、国際イノベーションフォーラムが開催された。これは、サンクトペテルブルク工業政策・イノベーション委員会が主催する、ロシア北西部最大のイノベーションフォーラムである。
第12回フォーラムとなる今年のテーマは「革新的な経済発展に向けた、手段としての対外輸出」。イノベーションフォーラムでは、グローバル市場への参入や国家競争力の観点に対する議論も行われた。
また、第12回イノベーションフォーラムの開催パートナー国はなんと「日本」!在サンクトペテルブルク日本国総領事館、日本人材開発センター、日本貿易振興機構(JETRO)の支援のもと、日本企業からは15社以上が参加をした。その中の企業には、すでにロシア企業とのプロジェクトを行う企業もある。
1) イノベーションフォーラム会場内は?
イノベーションフォーラムでは、スマートシティや持続可能社会への議論等、ビジネスセッションやパネルディスカッションが行われた。また、製造業やソフトウェア開発に従事する企業が、各ブースで自社製品を紹介する展示商談会も開かれた。
2) パートナー国「日本」
第12回目となる今年の開催パートナー国は、「日本」。日本からは、ソフトウェア開発や製造業に携わる15社以上の企業が参加をした。各企業はそれぞれ、JAPANパビリオンにおいて展示商談ブースを設ける他、ロシア企業とのパネルディスカッション等のビジネスセッションも行った。
参加企業を一部紹介!
【株式会社ユニゾンシステムズ[Unixon Systems]】
日本の放送局向けにシステム開発、保守 • 運用を行う。また、自社開発した高速データ転送ソフトウェア「STORM」の提供も行い、すでに多くの国内大手放送局が導入している。仏Dalet社の代理店として、日本国内でメディアアセットマネジメントシステムの販売、構築及び保守を行う。
同社は、2019年よりロシア発のスタートアップ「Uploadcare」との協業プロジェクトを行っており、今回のフォーラムでは、自社開発したメディア共有システム「JOINVIEW」へのUploadcareソリューションの組み込みを発表し、本格的な日本進出にむけて合意した。
【株式会社チームAIBOD】
人口知能を用いた機械学習や地域エネルギー管理システムのAI予測技術の開発を行う。2018年よりロシア企業との共同事業に力を入れる。これまでに「日ロICTビジネスミッション」、サンクトペテルブルクのビジネスインキュベーター「イングリア」での「福岡スタートアップデイ」等複数の日ロビジネスイベントに参加している。
同社は、今回のフォーラムで、サンクトペテルブルクを拠点に、北欧 • バルト諸国の企業も参加する国際アソシエーション「Cleantech Cluster」への参加が承認された。
【株式会社テクノソリューション】
スマートフォンやAI技術を応用した、製造業におけるAI管理システムを開発している。親会社は、初めて日ロの合弁会社を設立し、最も長く日ロ貿易に携わる大陸貿易。
同社は、2018年からロシア企業との共同事業を推進し、今後は、造船業やヘルスケア、製薬業の分野においてロシア企業との共同開発を目指す。
日ロ両国の企業によるビジネスセッション
JAPANパビリオンと並行して、ロシア企業とのビジネスセッションも行われた。
主なビジネスセッションのテーマ:①「日ロの異文化ビジネスコミュニケーション」②「日ロ企業間のR&D分野における可能性」③「持続可能な都市の環境開発に向けたクラスター事業の将来的展望」etc.
①【日ロの異文化ビジネスコミュニケーション】
「ITMO High park」「ITMO University」「SAMI」により開催されたビジネスセッション。日ロのイノベーション技術における協力関係について議論が行われた。主に、日ロ共同事業の具体的な事例や、今後の可能性について意見が交わされた。
②【日ロ企業間のR&D分野における可能性】
「RUSSOFT」「SAMI」が主催者となり、行われたビジネスセッション。日ロIT企業間のネットワークの構築を目的に、両国のIT企業におけるR&D分野の今後の協力可能性について議論が行われた。etc.
3) SAMIの役割
弊社は、イノベーションフォーラムに参加した日本企業のコーディネート、及びビジネスセッションやスタートアップによるピッチコンテストの企画/運営、通訳業、商談サポートを行った。
ビジネスセッションでの企画/運営
弊社は、上記日ロ企業によるビジネスセッションの企画/運営を行った。またセッション内は、モデレーターとして日ロ企業間の対話・議論の円滑化を図った。
また、弊社がサポーする日ロ企業間で、共同プロジェクトに関する覚書の締結や、協業に関する発表が行われた。
左)【株式会社ユニゾンシステムズ-Uploadcare】本格的な日本進出への協力合意
右)【株式会社チームAIBOD-Cleantech Cluster】クラスター参加への承認
スタートアップ向けピッチコンテスト
イノベーションフォーラム内では、「SAMI」「ITMO High park」「ITMO University」が主催する、スタートアップによるピッチコンテストが行われた。弊社は、ピッチコンテストの企画/運営を行うと同時に、日本企業と共にピッチコンテストの審査員を務めた。また、コンテスト参加チームには、Japan Awardとして、日本企業より日本を代表する工芸品や食べ物が贈呈された。
最優秀賞プロジェクト
【Inbuild】
CAM(Computer-aided-manufacturing)を使用した工学計算技術等の製造業におけるデジタルプラットフォームを開発。すでにPoC段階は終了しており、MVP(最小限の実行可能な製品)としての実現を目指す。
4) 最後に
2017年9月に日ロ政府間で「デジタル経済に関する協力に係る共同声明」が発表されて以来、日ロのIT産業やスタートアップ産業での、共同イベントの開催やミッション派遣などを通して、人的交流は進んできており、日ロのIT分野におけるコミュニティは確実に育ってきている。一方で、これらの市場の動きを継続するには、両市場にとって具体的な成功事例やモデルケースが生まれ、それらに再現性が必要である。
今回のフォーラムでは、実際に日ロの共同プロジェクトをすでに推進しているプレイヤー企業が集まり、お互いの進捗が確認できたこと、そして各種課題や今後の期待を直接議論できた点に大きな意義があったように思われる。
【サンクトペテルブルク国際イノベーションフォーラム公式サイト】