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RussiaBuzz

ロシアのITベンチャー、WEBサービス、起業家、スタートアップを紹介します。

ロシアのVR市場を牽引する「Fibrum」

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ロシアにおけるVR市場

2015から2016にかけて、「AVRA」(Association of argmented and virtual reality)の調査によると、ロシアにおけるVR/ARのベンチャー投資金額は、200万Rubから700万Rubに成長しました。これは、世界のVR/ARのベンチャー投資金額(1200万USD)の約0.5%に当たります。一社当たりの投資金額は15,000~250万USDでした。2017年には投資金額がさらに2倍に成長すると見込まれています。

▼「AVRA」(Association of argmented and virtual reality)
個人と民間企業からなるロシアのVR/AR業界における非営利団体。会員からの年会費によって賄われており、各種イベントの開催やレポートの発表、会員同士のネットワーキングを行っている。

ar-vr.org

 

また、MOMRI」(Modern Media Research Institute)の調査によると、2016年、VRの消費市場としては、製品(HMDやモーションコントローラ)、ソフトウェア開発、VRコンテンツが12億Rub、ビジネスの現場におけるVR技術を用いたソリューションは3億4820万Rubでした。これは、2015年と比較すると3,8倍の成長率です。

▼「MOMRI」(Modern Media Research Institute)
マスメディア系リサーチ会社。2016年に他メディア企業と共に「VRコンソーシアム」を立ち上げる。

MOMRI — Институт современных медиа

 

また、同調査において、2020年までにロシアにおけるVRの利用者は、現在の56万人から541万人まで増えると推測されることが、報告されています。 

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2015年から2016年にかけてロシアにおけるVR/ARの企業数は60社から183社へと大きく数を伸ばしました。そのうち、2/3がモスクワを拠点とする企業となっています。また、企業の規模としては社員数が20人以下のスタートアップベンチャーが多くなっています。ビジネスの現場にVRソリューションを持ち込んでいるチームの数は、300チーム以上になっています。

 

2016年は、ロシアの大手企業も相次いでVR事業への参加を表明しました。代表的な企業としては、Сбербанк, "СИБУР", Росатом, "Газпром"があります。また、2016年9月にはMail.ru GroupもVRゲームのプロトタイプを発表しました。

 

 

VR技術の成長分野

新聞社「Business Petersburg」のインタビューの中で、Oleg Kelnik(Planoplan共同創業者)は、「不動産業界ではデベロッパーがVRの導入を始めている。主にデザイン・設計と、建物のデモンストレーションでだ。一般消費者向けはまだ技術自体が高すぎる」「2017年末に向けて、警備・セキュリティ業界における人材育成にVR技術が生かされる」と答えています。

▼「Planoplan」
2Dの設計図からVR上で部屋を再現し、インテリアの配置をデザインするソフトを開発している。

planoplan.com

 

2015年にVRソリューションが活用された市場としては、広告・マーケティング分野でしが、2016年になると、教育・娯楽分野、不動産分野でのVR技術の活用が盛んになりました。今後は、エンターテイメント・娯楽分野(アトラクション、ゲーム、360°映画)、教育分野(企業研修など)が成長すると見込まれています。

 

2016年、ロシアの大手VCである「Sistema VC」は、教育系VRを提供する「MEL Science」に投資しました。

▼「Sitema VC」
モスクワに拠点があるVC。Ozon.ru、YouDO、NFWare、VisionLabsなどに投資している。画像認識や自然言語解析、VR/AR技術に注力している。

Sistema Venture Capital (Sistema_VC)

 

▼「MEL Science」
VR技術を活用した子供用化学実験キットのサブスクリプションビジネス。2016年に「Sistema VC」から$2.5Mの投資を受けている。

melscience.com

 

ロシアのVRを牽引する「Fibrum」

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FIBRUM Virtual Reality · Fibrum

FibrumはモバイルVRのハードウェア開発と、VRコンテンツ・ソフトウェア開発の会社です。創業は2014年で、現在は35人のチームを抱えています。自社開発のモバイルVR「Fibrum Pro」は、米:AmazonBestBuy, Bluewire、欧:Media Markt, Müller, Gravis、露:М.Видео, Связнойで購入することができます。また、BtoC市場だけでなく、民間企業や政府系の開発案件も受託しています。

▼「Fibrum Pro」サイト上で$49で購入可能

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Fibrumは、2014年カザンで行われたSEOカンファレンスに参加して、「Fibrum Pro」を紹介して、脚光を浴びました。

VII SEO конференция / SEO conference - Казань, 29-30 сентября 2016 год

 

 

2015年には、GoogleとAliExpressからも表彰を受け、その年にSkolkovoレジデンツになっています。2015年に開催されたSkolkovo主催の「Startup Village 2015」においてBest Global Startup賞を受賞しています。また、先日ご紹介したHigh School of Economics主催の「Startup of the Year」においても2015年度のハードウェア賞を受賞しています。

▼「Startup of the Year」とは

russiabuzz.hatenablog.com

 

 

Fibrumは2016年から、ハードウェアの開発・販売からソフトウェア開発の方に事業を ピボットしました。すでに30種類程度のVRアプリを制作・販売していましたが、VRアプリの開発者とユーザー、そしてVR製品のメーカーをマッチングするプラットフォーム「Fibrum Platform」を展開しました。現在はソフトウェアからの収益が全体収益の50%を超えています。

▼「Fibrum Platform」

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FIBRUM Virtual Reality

 

 マネタイズ方法もユニークで、2017年には「Fibrum Game Cards」というサブスクリプションモデルをローンチしています。このカードを購入しプロモコードを先ほどの「 Fibrum Platform」でアクティベートすることで、Fibrumのアプリを無料でダウンロードすることができるようになります。料金設定は以下の通りです。

  • $4.95/30days
  • $9.95/90days
  • $17.95/180days

▼「Fibrum Game Cards」

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また、上記のカード以外にも「Best VR attructions」カード($4.95)や、「Best VR Apps for children」カード($9.95)など、ジャンルごとにも様々なカードを販売しています。

 

Fibrumのこのマネタイズ方法は、特にギフト商戦において成功しました。2016年のクリスマス時期のアプリダウンロード数が昨週対比で、Google Playで218%、AppStoreで448%を記録し、年末商戦と合わせると93万ダウンロードを記録しています。「Fibrum Pro」と「Fibrum Game Cards」を合わせても、$70以下ですから、素晴らしいマーケティング戦略だと思います。

 

Fibrumは昨年度のCESやSXSWにも積極的に参加しています。ソフトウェア販売に関してはすでに海外からの売り上げが80%を超えています。「Fibrum Pro」だけですでに30,000台以上販売しており、アプリのダウンロード数は1800万ダウンロードを記録しています。

 

画像加工アプリの「Prisma」など、ロシアでは画像認識・モーション認識 の技術が伸びてきているように思います。今後は、VRもオンライン上で完結するものではなく、モーションコントローラと組み合わせた形や、AR技術の発展が期待されるのではないでしょうか。

 

参考記事→

www.forbes.ru

 

 

 

「Startup of the Year 2016」(3) ~ソーシャルスタートアップ・オーディエンス部門~

最終回は、”Startup of the Year 2016”のソーシャルスタートアップ賞と、オーディエンス賞を紹介します。

 

 

 

ソーシャルスタートアップ賞:UNA

www.unawheel.ru

 

Supreme Motorsが開発した「UNA WHEEL」は、市販の車いす電動車いすに変えてしまう脱着可能型の電動エンジンです。


UNA WHEEL

 

「UNA WHEEL」の総重量は11kgで、車椅子使用者が他の人の手を借りずに、30秒ほどで取り外しできるように設計されています。脱着可能型といっても、非常にパワフルな電動エンジンで3~4hの充電によって、35km走行することが可能です。最大速度は15km/hで、車椅子の重量と合わせて150kgまで牽引できるようになっています。走行可能な傾斜角度も35°まで対応しています。

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価格も70,000Rub(約14万円)とリーズナブルです。日本で電動車いすを購入しようとすれば、大手メーカーのスズキで約30~40万円、 昨年大型の資金調達をした次世代パーソナルモビリティの開発を手がける「WHILL」は99,5万円、アメリカで開発された世界最軽量の電動車椅子「ZINGER」は19,9万円です。

▼スズキ電動車いす価格帯

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jp.techcrunch.com

 

www.zinger-japan.com

 

Supreme Motorsのメンバーは4人です(Nikolay、 Sergei K.、Sergei P.、Igori)。彼らは、2014にこのアイデアを思いつき、モスクワ国立工科大学(MGTU)と共同で約2年の歳月をかけてプロダクトを完成させました。

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www.bmstu.ru

 

現在は、ロシアで最も大きいクラウドファンディングサイトである「Planeta.ru」で、100万Rubをゴールに資金調達をしています。また、昨年からPlaneta.ru、Russian Venture Company(RVC)、EVA Investの三社が共同でハードウェアスタートアップ向けのプロジェクト「Technology Battle」を始めました。ここでもファイナリストに選ばれ、10万RubのプレミアとEVA Investとの1on1ミーティングの機会を獲得しています。

 

▼ロシアNo1のクラウドファンディングサイト「Planeta.ru」

planeta.ru

 

▼ハードウェアスタートアップ向けプログラム「Technology Battle」

promo.planeta.ru

 

ロシア連邦社会政策・労働省によると、ロシアにおける障害者用車いすの利用者は、32万人とされており、2011-2012年には国家予算における障害者への社会保障費として、4,246億Rubが計上されています。一方で、日本においては、H28の手動車椅子出荷台数は48万台(一般財団法人 自転車産業振興協会技術研究所調べ)、H27の自立支援給付金(障害福祉サービス)が9,330億円(参議院 厚生労働委員会調査室調べ)でした。

 

市場規模に関しては、ロシアに比べて、日本の方がやや大きいものの、日本では今後電動車イスは、マイクロEVに代替されるとの見方もあります。一方で、ロシアでは車いす利用者の90%がいわゆる市販の手動車いすを利用しており、「UNA WHEEL」のようなパワフルでデザイン性の高い車いすの利用者が少ない為、潜在需要はあるかもしれません。

 

しかし、ロシアの場合は歩道の整備環境が日本に比べ、圧倒的に劣悪である為、ユースケースを一般公道利用以外にも考える必要があるかもしれません。

 

何れにせよ、「UNA WHEEL」のような製品が出ることで、老人・障害者の生活にさらなる多様性と活力が生まれてくれたらと思います!

 


 

オーディエンス賞:Педиатр 24/7(英:Pediator24/7)

pediatr247.ru

 

「Pediator24/7」は、Mobile Medical Technology社が提供している小児用の遠隔医療のサービスです。24h365日、インターネット上で小児科医からのアドバイスを受けることができます。提携医療機関が24h体制で、対応してくれるようになっています。

 

ユーザーはまず、[当直医にすぐに相談]か[専門家への相談を予約]を選択します。

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[当直医にすぐに相談]の場合は一回800Rubです。

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[専門家への相談を予約]する場合には、カレンダーから日時を指定します。また、料金は専門家によって異なります。

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アドバイスは、PCブラウザ、モバイルappのどちらからでも受けることができます。また、インターネット通信の状態が悪ければ、担当医から電話を受けることもできます。

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「Pediator24/7」は小児科医に特化したサービスですが、同社が提供する「Online Doctor」は医療分野を限定しない類似の遠隔医療サービスです。

onlinedoctor.ru

 

「Pediator24/7」の創業者でもあるAleksandr Smbatyanはシリアルアントレプレナーです。他に、インターネットショッピングサイトの「Aizel.Ru」、ショッピングクレジットの「vkredit24.ru」、ファッション系メディアの「Buro24/7」を創業しており、また、医療系サービスを投資先にもつVCのGenome Venturesの創業者でもあります。

Genome Ventures

「Pediator24/7」もGenome Venturesから出資を受けています。

 

「Pediator24/7」の創業は2013年です。子供の成長に関する母親たちの相談をすでに12,000件以上受けています。その相談のほとんどが、「子供に何を食べさせるべきか」というもので、相談の85%はモスクワ、サンクトペテルブルクを除くロシアの地方都市からのものだそうです。

 

「Pediator24/7」は今後、障害者児童向けの医療サービス展開と、人工知能を活用したBotによる遠隔診療の開発を行っていく予定です。

 

 

ヘルスケア分野に特化したVCのRock Health社のリサーチによると、2016年のロシアにおける*eHealthサービス市場は昨年対比+19%の成長をみせています。ロシアのプーチン大統領も今後2年間で、全ての医療機関をインターネットで接続し、遠隔医療に力を入れていくと発言しています。4,000人のロシア人を対象にしたアンケートでは、実に回答者の40%以上がすでに何らかの形でeHealthサービスを利用したことがあるとわかりました。

*情報通信技術を積極的に医療に導入することで個人の健康を高める仕組み。

rockhealth.com

 

市場の拡大に伴い、プレイヤーも多様化しています。「Pediator24/7」や「Online Doctor」以外の遠隔医療プレイヤーとしては、以下の企業が挙げられます。

▼「ONDOC」
個人の医療データを集約し、診察や処方に役立てる

ondoc.me

 

▼「Welltory」
個人の健康に関するアドバイスがもらえるモバイルapp

welltory.com

 

▼「Doctor at Work」
医者の為のネットワークサイト

www.doktornarabote.ru

 

▼「Helfine Medical」
ドイツ人の医師からセカンドオピニオンがもらえる

www.helfine.ru

 

 ロシアでは2015年から遠隔医療についての議論が活発化してきています。その発端となったのは、ロシア連邦保健・社会発展省と「IIDF(Internet Initiative Development Fond )」、「IID(Institute of Internet Development)」、Yandexの三社が遠隔治療に対して異なる意見をぶつからせた事でした。ロシア連邦保健省は、遠隔治療はあくまでも、相談やアドバイス、経過観察などの領域にとどまると主張しましたが、民間三社は遠隔治療は診断や薬剤処方も含む定義であると反論しました。

 

日本における遠隔医療については、2015年の政府の方針転換を機に、一気に規制緩和の流れとなっています。

www.nikkei.com

 

ただ、ロシアの実際の医療現場においては、医師が患者から直接メッセンジャーアプリなどで相談受けるようないわゆる「黒い医療行為」が数年前から頻繁に行われており、患者を守るという意味でも、早急な法整備が求められています。

 

また、ロシアにおける遠隔医療のニーズの高まりの裏には、ロシアならではの医療従事者の賃金の安さも関係しているかもしれません。本来であれば、国民の生活を支える社会インフラに携わる者として、しかるべき待遇が守られていない現状があります。
下の図では、ロシアの医師の平均賃金は25,000Rubであり、ドイツの約1/10、アメリカの1/17の給料しかもらえていません。

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Startup of the Year 2016はいかがでしたでしょうか。今年は医療や建築など、既存の業界に最新のインターネットテクノロジーが導入され、新しい価値を生み出すスタートアップの姿がみられました。今後もこういった流れは加速していく事でしょう。

 

最後に、受賞チーム以外でも、フィナリストはスポンサーからのプレミアを受けるチャンスがあります。今年のプレミアはカシペルスキー研究所とMicrosoftが提供しました。
カシペルスキー研究所はビッグデータ解析のスタートアップ「Tusk Pro」に賞状を、MicrosoftMicrosoft Bizparkで使える12万USD相当のプレミアを、マイクロファイナンス向け信用調査サービスの「Scorista」にプレゼントしました。

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参考記事→

vc.ru

 

Денис Юдчиц, «Педиатр 24/7»: Мы решили сделать сервис для мам, который доступен круглые суткиmhealthrussian.wordpress.com

"Startup of the Year 2016"(2) ~ハードウェア・フィンテック賞~

前回に引き続き、”Startup of the Year 2016”の受賞チームを紹介したいと思います。 

 

ハードウェア賞:Apis Cor

apis-cor.com

 

Apis Corはシベリアイルクーツクで生まれた建設用モバイル3Dプリンタのスタートアップです。トラック一台で移動できる2tのモバイル3Dプリンタで、実際に住宅用建物を建設することができます。

https://d2ygv0wrq5q6bx.cloudfront.net/uploads/image/files/79525/37f36e6bce56d7a5068af8ea8b94195b73918195.gif

 

 

このユニークな技術は日本でも既にTABI LABOやGigazineを通じて紹介されています。

tabi-labo.com

 

gigazine.net

 

3Dプリンタはアーム部分と、建設用のコンクリート材を混ぜるミキサーからできています。実際の建築現場に機器を持ち込んでからのセットアップ時間はなんと30分です。現場で必要な作業員はたったの2人で、最大で132㎡の建物を建設することができます。

 

従来の建設用3Dプリンタはブロック材をプリントして、建設現場に搬送し組み上げます。Apis Corは、現場で直接建設をしていくので、納期も短く、コストも大幅に削減できることが強みです。

http://i.gzn.jp/img/2017/03/06/apis-cor/a40_m.jpg

 

動画の中では、38㎡の平屋をわずか1日で建設する様子が映し出されています。この建築費用は既存の工法で作られる一般的な箱形の住宅に比べて、1㎡単価で223ドル(約2万5000円)も安く、45%も建築コストを抑えられるとのことです。

Apis Cor 3d printer

  

創業者のNikita Chen-iun-taiはイルクーツク出身の26歳です。

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幼い頃からロボティクスに魅せられ、高校生になる前には自分で書いたFXのプログラムで、当時としては大金であった140,000Rubを稼いでいました。18歳になると屋外広告の制作をする会社を自分で立ち上げました。2014年のソチ五輪でいくつかの大きな契約が決まり、その資金を使ってApis Corをスタートしました。

 

現在チームは20人ほどで、オフィスはロシアではイルクーツク以外にモスクワがあります。また、2015年に米サンフランシスコにUSオフィスを作っています。

 

2016年2月にはSkolkovo Fund主催の"Startup Tour in Irukutsuk"で3位入賞を果たし、同年4月には同じくSkolkovo Fund主催の“Technostart-2016”で3MRubのグラントを獲得しています。

▼Startup Tour
Skolkovoが毎年開催しているビジネスコンクールです。14都市で開催され、2,000以上の応募があります。

startup-tour.ru

 

現在、パートナー企業としてSiemens Finance LtdとSamsung Electronicsなどの大手メーカーと提携しており、グローバル展開に非常に意欲的に取り組んでいます。

 

 

 

フィンテック賞:Кoshelek(露:Кошелек)

 

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https://cardsmobile.ru/

 

Koshelekは、財布に溜まりがちな銀行カードや各種割引カードなどをスマートフォン一台で持ち運びできるモバイルappです。 


Приложение «Кошелек»

KoshelekはNFC(近距離無線通信)技術を活用しており、端末にかざすだけでモバイル決済や、ポイント加算ができるようになっています。同様のサービスとして、Sumsung walletやAppleのWalletがあります。

 

Koshelekが提携しているカードは、以下の通りです。

  • 販売業者ー割引カード、プレミアム会員カード、クーポンチケット
  • 銀行ーデビットカード、クレジットカード
  • 公共交通機関ー地下鉄・バス乗車カード

販売業者との提携が始まったのは2016年からで、提携先はNikeSony、O'STIN、Samsungなどのグローバルメーカーをはじめ、M.videoなどの国内リテーラーへもサービスが拡大しつつあります。デジタル化されたカードは1,100万枚以上、ダウンロード数は300万を超えています、カード発行企業は14万社以上です。

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提携銀行は国内銀行がメインです。Bank Saint Petersburg、Moscow Industrial bank、Russian Standard Bank、Tinkoff Bankなどがあります。また、MasterCardとはビジネスパートナーシップを結んでおり、各種PRでタイアップしています。

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公共交通機関では、すでにロシア国内の20地域で導入が進められており、その中にはサンクトペテルブルクやモスクワなどの大都市も含まれています。公共交通機関の乗車カードと販売業者が提供する会員カードを一つのアプリで管理するのは技術的にも難しく、日本でもようやく2016年からApple PayによってSuicaが使えるようになりました。

style.nikkei.com

 

創業者のCyril Gorynyaは、サンクトペテルブルクのIT企業「iFREE」の創業者であり、シリアルアントレプレナーです。iFREEはモバイルコンテンツのディストリビューターとして2001年に創業しましたが、その後モバイルappやスマホゲームの開発、Web広告事業、メディア事業などIT分野での事業の幅を広げ、2014年にはロシアForbsでIT分野の6位にランキングされた大企業です。その後、ベンチャーファンドも立ち上げ、Koshelekにも出資しています。

www.i-free.com

 

Koshelekの開発ヒストリーは、実は日本とも密接に関わっています。2007年、Cyril Gorynyaはビジネス研修で来日し、その際にSonyを訪れています。その時に初めてNFC技術を紹介され、ロシアに持ち帰り6年の歳月を経てプロダクトとして、完成させました。ロシアでは2004年頃からSMSによるモバイル決済が既に始まっていましたが、2000年代にNFC技術は全く相手にされていませんでした。

 

Koshelekにとってのターニングポイントは、Apple Payがスタートした2014年でした。2013年、Apple Payがスタートする半年前にKoshelekはサービスローンチしました。NFCによるモバイル決済システムとしては、ロシアではGoogleに次いで二番目のサービスローンチでした。それまで、全く見向きもされなかったKoshelekの技術は、Appleの市場参入により、大きく注目されるようになりました。

 

Koshelekを運営するCardsMobileは、Skolkovoレジデンツであり、2016年にはロシアの大手ITソリューション企業LANITから29%の株式と引き換えに、$2.5Mの出資を受けています。これにより、現在の企業価値は$8,74Mと試算されています。

 

現在KoshelekはHTC、SonyPhilipsなどのスマートフォン180万台以上にデフォルトとして設定されており、2016年にはiOSバージョンもローンチされました。年間売上は70MRubと発表されており、今後はQiwiやYandexなどの国内決済事業者と、AppleSamsungなどのグローバルプレイヤーとも熾烈な競争を勝ち残っていかなくてはなりません。

 ▼Qiwi 
三井物産が出資した話でも有名になったロシアの決済システム会社です。

qiwi.com

 

▼Yandex Money
ロシアの検索エンジン大手Yandexが保有する決済システムです。

money.yandex.ru

 

 

 最終回は、ソーシャルスタートアップ賞とオーディエンス賞を紹介します。

"Startup of the Year 2016"発表!!!(1)

今回は、モスクワのDigital Octoberで開催された、”Startup of the Year 2016”に特派員のキリル君が参加してくれました!

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www.digitaloctober.r

 

 ”Startup of the Year”とは?

award.inc.hse.ru

"Startup of the Year"は、2008年から始まったビジネスコンテストで、今年で9回目を迎えます。イベントの主催は、"High School of Economics"(通称HSE)という教育機関です。これは私立の大学で、MBAコースも準備しています。大学内にはスタートアップを支援するインキュベーター機能があり、Startup of the Yearはこのインキュベーターが主に企画運営しています。

 

High School of Economics

www.hse.ru

 

Startup of the Yearは、コンクールへのアプライから最後のビジネスピッチコンテストまで約1ヶ月の間で運営されます。流れは以下の通りです。

  1. HSEにコンクール申請書を提出する
  2. 二週間後に4つの部門毎にスタートアップ3社がそれぞれノミネートされる
    (審査員、VC、個人投資家、大企業、成功しているスタートアップの代表者)
  3. 1週間〜10日後にビジネスピッチコンテスト&受賞セレモニーが開催される
  4. ノミネートされた12社にはパートナー企業から賞品をもらうことができる
    今回は、Microsoftからグラントで$120 тыспо программе Microsoft BizSpark。そのほか気に入ったチームには、корпорация готова подарить грант в размере $25 тыс на год.の準備がある

今年のパートナー企業は、Raiffeisenbank(オーストリア系銀行Raiffeisen Bank Internationalのロシアにおける子会社)、MTC(ロシアの大手通信会社)、PepsiCo、カシペルスキー研究所、Microsoftでした。

 

Startup of the Yearの過去ノミネートor受賞チームには、今までにご紹介したComfortway、YouDOも含まれており、近年ロシアにおけるスタートアップの登竜門として存在感を発揮しています。

 

russiabuzz.hatenablog.com

  

russiabuzz.hatenablog.com

 

 

Startup of the year 2016!!!

Startup of the Yearでは、4つの部門(グローバル、ハードウェア、フィンテック、ソーシャル)に分けて選考を行います。また、当日の会場投票でオーディエンス賞も一社選ばれることになっています。

それでは、2016年度の受賞スタートアップを紹介していきます。 

 

グローバル賞:Statsbot

statsbot.co

Statsbotは2015年11月創業のスタートアップで、Slackの拡張ツールを提供しています。Google AnalyticsやMixpanel、Salesforceと連携させることで、サイト解析のサマリーをSlack上に定期的に流してくれるbotサービスです。

例)Slack上に流れてくるサマリー

https://static40.siliconrus.cmtt.ru/paper-media/93/e1/4f/d390f3761f3dab.png

Statsbotのアイデアは、CEOのArtyom Keydunovの前職の経験から生まれました。彼は、遠隔でエンジニアチームと仕事をしていたことがあり、その時にあらゆるコラボーレションが生まれる場所ーすなわちSlack上にーGoogle AnalyticsやMixpanelのデータを引っ張ってこれないかと考えました。

 

現在チームは、10人弱まで成長し、オフィスも昨年からアメリカに移しました。

 

2016年にSeedラウンドで約$2Mを調達しています。インベスターの中には、500Startups やSlack Fundも含まれています。

Slack инвестировал в российский проект Statsbot и ещё 10 стартапов

 

利用者は順調に伸びてきており、今年2月の時点で20,000人を突破しています。法人利用としては、Vimeo、Product Hunt、Y Combinator、 Khan Academy、 NASANikeBBCSalesForceなどの大手企業でも活用されています。

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*各種インタビューから作成

 

2016年6月の段階では無料プランがありましたが、2017年3月現在はフリートライアルを除き、基本は全て有料プランになっています。

↓2016年6月

https://qiita-image-store.s3.amazonaws.com/0/119581/2c9e24c7-55b7-3529-f2cb-ac47ae1bef7b.png

↓2017年3月

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Statsbotは元々、アメリカのProduct Huntで紹介されて飛躍的に認知度が上がりました。Product Huntはスタートアップが新しいプロダクトを露出する場として注目されているソーシャルニュースです。

www.producthunt.com

 

その他にもHacker Newsや、Google Analyticsの公式ツイッターでも紹介されており、日本でもQiitaを通して紹介されています。

qiita.com

 

現在もPR戦略に関しては、コンテンツマーケティングに注力しており、自社でマーケターを抱えながら外部サイトに記事を書いてもらうことで、認知度を高めています。

今後はサービス改善にさらに力を入れ、異なるソースから集められたデータを用いて、企業にとって最適なインサイトを提供できるようにしていくとのことです。

 

次回は、ハードウェア賞・フィンテック賞について紹介したいと思います。

 

 

ロシアWeb4.0"Neuronet" ≪スタートアップ紹介:ビジネスプロセス最適化≫

http://neuronet.utk.edu/images/slideshow/main3.jpg

ロシアWeb4.0 ”Neuronet” 

日本でもここ数年、ニュース等でAI、機械学習ディープラーニングという言葉をよく見るようになりました。今回は、これらの技術の中心的なアプローチとなる、ニューラルネットワークについて、ロシアの現状をお伝えできればと思います。

 

ニューラルネットワーク理論は、1943年にウォーレン・マカロックとウォルター・ピッツというアメリカの神経生理学者と数学者によって考案されました。ニューラルネットワークは人間の脳と同じように高度な認識・思考能力を獲得できるのではないかと、当時は期待されましたが、一方で当時のコンピューターの能力では課題も多く、限界にぶち当たってしまいました。しかし、2006年、深層学習(ディープラーニング)の理論が発表されると、従来抱えていた課題が解決され、一気に実用化へ進むようになり、第3次AIブームの火付け役となりました。

 

o2o.abeja.asia

 

ロシアでは、1988年にロシア人口知能協会(RAAI)が設立され、現在300人以上の研究者が在籍しています。RAAIによって2年に一度、全国人工知能学会が開催されています。

 

ロシアにおける人工知能機械学習を知るためには、キーワードとして"Neuronet"という言葉を覚える必要があります。これは、ロシアではWEB4.0とも言われ、2030-2040年にかけて、人間・動物・人工知能がニューラルテクノロジーを活用してコミュニケーションするステージと定義されています。

Нейронет — Википедия

 

また、2009年に、政府ービジネス・研究間の相互協力について発表があり、27のイノベーション技術分野について、政府が貢献していくことが決まりました。その内の一つである”未来医療”分野において、ニューロンテクノロジーが発表されました。

2014年にロシアベンチャーカンパニー(RVK)によって、国内外の専門家が集められ、ニューロンテクノロジー・ロードマップセミナーが開催されました。同年、プーチン大統領の要請によって、ナショナルテクノロジーイニシアチブ(NTI)が設立された際に、注力していく9つの成長分野の中に"Neuronet"が組み込まれ、その言葉の定義が生まれました。

ナショナルテクノロジーイニシアチブ

http://science.spb.ru/images/news/announce/2016/11/26.jpg

http://www.nti2035.ru/

 

2015年、NTIの報告の中で、ロシアにおける2035年までの"Neuronet"ロードマップが正式に発表されました。

http://gmpnews.ru/wp-content/uploads/2015/10/neuronet.jpg

 

 

 

市場規模

2016年、世界のAI技術への投資額は5億USDに達しました。4大会計事務所のEY社の調査によると、2020年までに世界の人工知能市場は、運輸分野から教育分野に至る幅広い分野において、2000億USDまで成長するとされています。

以下は2016年に、世界でAIスタートアップ企業に投資された分野別投資額のグラフです。

https://venturescannerinsights.files.wordpress.com/2016/03/slide21.jpg

                                                                   出典: artificial intelligence company list

 

一方でロシアでは、上記のNTIが策定したロードマップの中では、2016年におけるニューラルネットワークの市場規模は4億Rubとされており、2020年には440億Rubと推定されています。2035年までに世界シェアの2.5%以上を取ることが目標に掲げられています。 

 

 

国策

2015年に、大統領付属ロシア経済近代化・イノベーション発展評議会によって"Neuronet"は承認されました。これは、企業と個人からなる業界団体です。

rusneuro.net


2035年までのロードマップの中で、以下の市場セグメンテーションに分けて、イノベーションを加速化させていくとしています。

  • NEURO PHARMA
     遺伝子療法・細胞療法
     パーソナライズ化された早期予防診断
     神経変性疾患の予防と治療
     健全者における認知能力の向上
  • NEURO MEDTECH
     神経プロテーゼと人工感覚
     障害者のリハビリ現場におけるニューラルテクノロジーの活用
     ロボットセラピー
     ニューラルインターフェースの開発
  • NEURO ENTERTAINMENT AND SPORTS
     脳フィットネス
     ニューラルテクノロジーを活用したゲームコンテンツ・ガジェットの開発
  • NEURO EDUCATION
     教育現場におけるVR/AR、ニューラルインターフェースの活用
     ニューラルテクノロジーの教育プログラム・製品への応用
     記憶力強化の為の製品、脳の働きを分析する製品
  • NEURO COMMUNICATION AND MARKETING
     ニューロマーケティング
     生体認証データの活用による個人・マスの消費動態の予測
     意思決定支援システムの構築
     感情推定技術の発展
     集団行動における生体プロセスの最適化技術
  • NEURO ASSISTANTS
     自然言語処理技術
     ディープラーニング技術の発展
     ヒトと機械の電脳ハイブリッドアシスタントのパーソナライズ化

 

政府は、教育科学省と金融省の予算の元、NTIへ125億Rubの予算配分を行なっており、2016年に80億Rubが消化され、2017年は残りの40億Rubが使われることになっています。 

 

 

イベント

人工知能の開発が進んでいるのはモスクワのSkolkovoで、主にロボティクスの分野で研究が進んでいます。定期的に開催されるSkolkovo Roboticsでは、その研究成果を見ることができます。また、ロシアの検索大手Yandexも検索技術の中で、人工知能を活用しています。以下は、ロシア国内で開催されている主な人工知能系のイベントです。


▼Skolkovo.AI

画像解析、会話AI、チャットボット、チューリングテスト、AIインターフェースデザインの5つの主なトピックで2016/11に開かれたカンファレンス。

sk.ru

 

▼AI Hackathon St.Petersburg
FlINT CAPITALが2017/03にSpBで開催したAIハッカソン

hackathon.ai

 

▼EDHACK: CHATBOTS AND AI HACKATHONS CUP
2016/09に教育科学省とedXが共催したAIとチャットボットのハッカソン

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http://edhack.misis.ru/

 

 

スタートアップ紹介:
ビジネスプロセス最適化

▼Digital Genius

www.digitalgenius.com

Digital Geniusは2016年、米Forbsの«30 Under 30»にノミネートされた注目のスタートアップです。ファンウンダーのDmitry Aksenovは、当時若干23歳。独学でロボット工学と人工知能を学習し、初めてロボットを作ったのは7歳という天才児だったようです。

Digital Geniusは、企業のカスタマーサービスをAI技術を使って効率化させるアプリケーションです。

コールセンターなどに導入され、SalesForceなどのCRMから過去の顧客とのやりとりをディープラーニングによって解析します。

顧客からくる問い合わせ(メール、ソーシャルメディア、メッセージアプリ、Live Chatなど)を優先度、質問形式、状況などの5つの項目でタグ付けし分類します。

https://www.digitalgenius.com/wp-content/uploads/2017/02/unspecified-6-395x434.png

 

質問内容に対してAIがベストアンサーを提案してくれるので、オペレーターはそのまま返答するか、文章を一部修正して、パーソナライズするかを選択します。

https://www.digitalgenius.com/wp-content/uploads/2017/02/timeline-c@2X-482x413.png

 

また、質問に対する返答の妥当性について、%で表示されるので、ある一定値を超えた段階で、自動返答する設定をすることができ、またその基準も自由に選択することができます。

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人工知能というハイテクと、オペレーターというローテクをうまく組み合わせたサービスの実現を目指しており、このシステムの導入によって、オペレーターは最大30%まで、作業キャパを増やすことができるとされています。

 

また、カスタマーサービス以外にも、プロモーションとしてもDigital Geniusの技術は活用されています。例えば、昨年、ユニリーバのブランドであるクノールとパートナーシップを組み、アジアおよびアフリカ市場で展開した「Chef Wendy」があります。テキスト・メッセージを活用し、消費者が自宅にある食材でより良い食事を作るようレシピを提供するサービスです。

 

ジョージア(旧:グルジア)との国境付近、カフカス山脈の麓の町、ヴラジカフカスで生まれたDmitry Aksenovは、2008年にロンドンへ留学します。その後、カレッジに進み、在学中に今のビジネスモデルの原型を発案します。創業は2013年、今では30人弱のチームを抱えています。2015年に$3M、2016年に$4.1Mのシード投資を受けています。ラウンドには、以前に紹介したRuna Capitalも参加しています。

オフィスはロンドンとNYにあり、Digital Geniusの他に、Fin Geniusという金融業界に特化したカスタマーサービスAIも運営しています。

 

インタビュー記事→

www.fusionwire.net

 

▼Behavox

主に金融業において、ビッグデータ機械学習音声認識のテクノロジーを使い、企業内コミュニケーションにおけるコンプライアンス遵守を助ける。

www.behavox.com

 

 ▼Leadza
ニューラルネットワークを活用したFacebookInstagram広告最適化サービス。

www.leadza.ru

 

 ▼GuaranaCam
機械学習を活用したオフライン広告最適化サービス。商業施設の監視カメラネットワークを利用して、来店者の購買活動を分析する

GuaranaCam | GuaranaCam

youtu.be

 

▼LogistiX

人工知能を活用した倉庫機能最適化。

logx.ru

 

▼BFG Soft

クラウド型プラットフォーム。ビッグデータやAIを使って、製造業における新しい設備導入や業務改善プロセスのビジュアルモデルを作成する。

bfg-soft.ru

 

 ロシアでも人工知能を活用したサービスは、生まれてきていますが、世界と同様に、人材獲得競争になっています。国もプーチン大統領のイニシアチブにより、人材育成、国際競争力強化に乗り出していますが、西側との差は大きく開いているのが現状です。
今後の動向に注目したいと思います。

 

 

SPBを代表するインキュベーター”イングリア”

政争に巻き込まれたテクノパーク建設

今回は、サンクトペテルブルクを代表するインキュベーター”イングリア”を、
訪問してきました。

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Бизнес-инкубатор Ингрия

 

2008年、ヨーロッパやアメリカをモデルに、イングリアはビジネスインキュベーター
パイロットプログラムとして、設立されました。

イングリアはテクノパークとしての顔も持っており、サンクトペテルブルク市100%出資の株式会社テクノパーク サンクトペテルブルクが運営会社です。

テクノパーク”イングリア”は、2006年にサンクトペテルブルク国立通信大学の構想によって、そのプロジェクトがスタートしました。

www.sut.ru

サンクトペテルブルクプーチン大統領の出身都市でもあり、テクノパーク建設は彼の肝いりのプロジェクトでした。モスクワ・スコルコヴォのカウンターパートとして、建設が予定されていましたが、2015年に完成予定だったものの、未だに建設中です。

当初は、ノヴォシビルスクのアカデミーパーク等と同様に、国家予算が入って、建設される予定でした。しかしながら、その権利帰属がサンクトペテルブルク市なのか、国家なのかを巡り、裁判にまで発展しました。その結果、国家予算の編成が見送られてしまい、サンクトペテルブルク市と個人投資家による投資だけでプロジェクトがスタートしました。初期の2012年完成予定は延期され、建設会社と建設構想も幾度となく変更されました。完成予定地における住民からの土地の買い上げも遅々として進みませんでした。

300億Rub規模の大投資ですが、未だにその構想は宙に浮いたままになっています。
2016年から建設が再開され、次の完成予定は2023年だそうです。

 

www.youtube.com

 

 

入居条件

入居条件は、通常プログラムと通信プログラムによってそれぞれ異なります。
プログラムに参加しても、株式取得等の条件はありません。

 

通常プログラム 4500Rub/月 

  • コアワーキングスペース1席/24h 週7日
  • エキスパートセッション参加/年2回まで
  • VC Day・Demo Day・One-on-on meeting参加/クオーターで最低4回以上
  • メンターセッション/クオーターで最低1回以上
  • 会議室利用/月3hまで
  • カンファレンスルーム/クオーターで1回 8hまで
  • 専門家による個別コンサルティング/月3h
  • パートナーネットワークへのアクセス・インターネット/無制限

  

通信プログラム 2500Rub/月

  • コアワーキングスペース1席/24h 週7日
  • エキスパートセッション参加/年2回まで
  • VC Day・Demo Day・One-on-on meeting参加/クオーターで最低4回以上
  • メンターセッション/クオーターで最低1回以上
  • 専門家による個別コンサルティング/月1h
  • パートナーネットワークへのアクセス・インターネット/無制限
  • 会議室利用/1h 500Rub
  • カンファレンスルーム/1h 700Rub

 

▼コアワーキングスペース

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▼会議室

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▼カンファレンスルーム

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上記以外でも、入居企業は別途費用を払えば、追加で会議室の利用や、コアワーキング
スペースの席を確保することができます。また、入居企業でなくても、以下の費用を支払えば入居企業と同じようにサービスを利用できたり、イベントに参加できます。

 

非入居企業

  • コアワーキングスペース1席/1h 150Rub
  • エキスパートセッション参加/1回 5,000~9,0000Rub
  • 会議室利用/1h 950Rub
  • カンファレンスルーム/1h 1,500Rub
  • 専門家による個別コンサルティング/1h 3,000Rub

 

また、月5,000Rubを支払えば、オフィスを借りることもできます。

▼オフィス

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大学・企業・海外との
連携が進む

実績

2009〜2015年までにイングリア入居企業が受けた投資総額は20億Rub以上、
売上総額は30億Rubを超えます。これまでに400社以上のスタートアップや
イノベーション企業のサポート実績があります。

元々が国立通信大学の構想であり、大学との連携も進んでいます。ITMOのビジネスインキュベーターの立ち上げにも関わっています。2016年には、教育機関との連携が進むインキュベーターとしてロシア3位に位置付けられました。

また、近年では、北欧発のアクセラレータープログラムStartUPSaunaの誘致も行いました。

rb.ru

 

 

イベント

Startup Lynch

StartupLynch

毎月1回、最終金曜日の昼11時から開催されるビジネスピッチイベントです。対象者は、入居企業、入居希望者など申請すれば誰でも参加することができます。5分間のピッチと、15分間の専門家からのフィードバックで構成され、毎回4〜10のプレゼンテーションが行われます。イングリアの登竜門的なイベントです。

 

Technology Transfer Day

Трансфер технологий

年に3回行われる、イングリアを象徴するオープンイノベーションのイベントです。
こちらもビジネスピッチイベントですが、Startup Lynchとの大きな違いは、
一般企業とスタートアップのマッチングが目的であるという点です。
毎回違ったテーマで開催され、テーマに合った一般企業がパートナーを務めます。
2014年にスタートからすでに13回以上開催され、イベントを通して17の契約が
結ばれています。5分間のピッチと、5分間のFAQで構成され、10前後のプレゼンテーションが行われます。

 

2016年のテーマ

▼Technology for Life

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▼Technology for Megapolis

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▼Design Day

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Startup Sauna

startupsauna.com

Startup Saunaはフィンランドで始まったアクセラレータープログラムで、2010年から
始まり、今年で7年目になります。北欧、バルト3国、ロシア・東欧を中心に14カ国・20地域で、春と秋の半年に1回ずつ地域選考が行われ、各地域上位3チームがヘルシンキで行われる7週間のアクセラレータープログラムに参加できます。アクセラレータープログラムの参加者は、Slushへの参加資格が与えられます。また、選ばれたチームはベルリン・ロンドン、シリコンバレーへのツアーに参加することができます。
モスクワの注目スタートアップWindyもStartup Saunaの卒業生でした。

windyapp.co

イングリアでは、Startup Saunaのパートナーとなって、地域選考の運営をしています。
イベントには、フィンランドから専門家も召集し、ビジネスピッチは英語で行われます。

 

 

入居企業

イングリアのLeoとAlexseyにイングリアの中堅スタートアップを紹介してもらいました
(6~10人くらいのチームで、月商が約200万Rub)。

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 ▼Conomy

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https://www.conomy.ru/

個人のマイクロ投資向けレコメンデーションサービス。企業の営業実績や財務実績などの統計データを解析して、投資家に最適な投資先を提案する。利用料は、500Rub/月、5000Rub/年を選択できる。同社の提供する、Conomy Portfolioは自動投資ポートフォリオ作成ツール、Conomy Rightは投資ロボアドバイザーサービス(手数料40Rub/1売買)。

portfolio.conomy.ru

 

 

▼Stafory

stafory.com

 

人材採用プラットフォーム。企業の採用情報とリクルートエージェント・フリーランスのヘッドハンターをマッチングする。利用料、手数料は現在無料。同社が提供する人材採用ロボ”ベラ”は、採用情報を入力すると、インターネット上のサイトにアップされているレジュメを検索し、条件に合う候補者に自動的に連絡し、採用情報について説明する。その後、候補者は自動的に送られた採用条件の詳細を受け取り、条件が合えばビデオインタビューを受ける。すでに1,200以上のビデオインタビューが”ベラ”を通して行われ、採用実績も出始めている。
利用料は4,500〜300,000Rub(1レスポンスあたり30〜90Rub)。

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Вера, робот-рекрутер

 

イングリアは、今後イベント運営を通じて、大企業とスタートアップのマッチングプラットフォームとしての機能を強化することを目指しています。オープンイノベーションを活用した大企業との連携は、IPOの少ないロシア市場にとって、スタートアップに残された可能性かもしれません。またStartup Saunaなど、スタートアップの海外展開支援も積極的に進めており、アジア市場に関しても非常に興味を持っています。将来、日系企業サンクトペテルブルクのスタートアップに投資する日が来るでしょうか。

 

 

 参考記事→

www.dp.ru

学術都市アカデミガラドクへ潜入

ロシア第3の都市
ノヴォシビルスク

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人口150万人、ロシア第3の都市であるノヴォシビルスクは、モスクワから東に3,000km、
ユーラシア大陸のちょうど中心に位置しています。

 

2600万人を抱えるシベリア地域最大の都市であるノヴォシビルスクは、
1920年代にロシア語で「新しいシベリアの町」を意味する今の名称になりました。

 

スターリン政権下の重工業政策で、シベリア最大の産業都市として発展しました。
また、シベリア最大河川のオビ川が流れ込む地域でもあり、シベリア鉄道の発展と共に、
運輸拠点としての役割も果たしています。

 

ノヴォシビルスク発IT企業といえば、ジオロケーションの”2gis”、オンラインゲームの”Alawar”が有名です。中でも、2gisは3,000人以上の従業員が在籍し、今でもメインオフィスは市内にある為、
雇用創出に大きく貢献しています。

 Alawr

www.alawar.ru

 

2гис(2gis) 

2gis.ru

 

学術都市アカデミガラドク

アカデミガラドクはノヴォシビルスクの中心地から南東に30km離れた場所に、
森を切り開いて建設されました。ロシア語で「アカデミーの町」の意であり、
日本でいう研究都市・学術都市にあたる計画都市です。
筑波研究学園都市のモデルになったともいわれています。

 

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Академгородок | Официальный сайт Новосибирска

 

現在、アカデミガラドクには13,000人の科学者が在籍しています。
周辺にはロシア科学アカデミーに在籍する38の大学、シベリア科学アカデミーに在籍する
8つの大学、18のマルチアクセスセンター、6つのインターナショナルリサーチセンターが
あり、研究分野での協力体制が進んでいます。
中でもノヴォシビルスク国立大学は、ロシア大学ランキングでも10位以内の優秀な大学です。

НГУ | Новосибирский государственный университет

 敷地内には住居エリアもあり、科学者が集中して研究できる環境が整えられています。

 

 

アカデミガラドク内には、テクノパークであるアカデミパークがあります。
アカデミパークは2006年に建設され、その建設費用は200億ルーブル以上と言われています。

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Главная - Академпарк

アカデミパークは、主に4つのクラスターから成り立っています。

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Главная страница — Инкубатор Академпарка

 

 

研究・教育・ビジネスをシームレスに

今回は実際にアカデミパークの運営会社、株式会社テクノパーク(ノヴォシビルスク州が100%出資)の方々にお話を聞いてきました。

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アカデミパークが目指しているのは、”研究”・”教育”・”ビジネス”の有機的なつながりです。
例えば、大学の卒業生達にはアカデミパークに入居する企業に就職する、もしくは自分たちでスタートアップを始めるというキャリアパスが用意されています。また、企業サイドのニーズを受けて開発された
技術は、パイロットテストを経て、OEM製造まで一気通貫で実用化の道を辿ります。アカデミパークではリサーチセンター、大学、企業の横のつながりを生かして、イノベーション技術の実用化を進めています。

 

 

アカデミパークの入居企業数は350社、そのうちビジネスインキュベータープログラムの参加企業が130社です。アカデミパーク入居企業の年間売上総額は、約200億ルーブルで、9,000人の雇用を生んでいます。これは国家プログラムで運営されている12のテクノパークにおいて24%の売上シェアを占めています。 

 

▼入居企業例 

KliChat

メッセンジャーアプリ、ビジネスプロモーション向けメッセンジャー

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KliChat

 

Gransjoy

CtoC海外配達サービス

gransjoy.com

 

また、アカデミパークはヨーロッパビジネスネットワーク(EBN)の一員であり、
国際テクノパーク協会にも属しているので、世界的なネットワークを有しています。

 

アカデミパークの入居企業になるには、ノヴォシビルスク州に登記のある法人ないし個人事業である必要があります(外国企業でもOK)。書類審査を受けなければいけませんが、必ずしもオフィスを借りる必要はありません(ここは、モスクワの Skolkovoレジデンツと似ています)。


大きいオフィスを借りるなら、アカデミパーク内の建物で1フロア〜から借りることができ、小さいオフィスはメインビルディングであるITセンターの中で25㎡〜から借りることができます。また、ITセンターの中には、コアワーキングスペースがあり、これは月$15から借りることができます。必ずしも入居企業である必要はありません。

 

テクノパークでもあるアカデミパークは、2006年からビジネスインキュベーターとしての活動を行なっていて、アクセラレータープログラムの開催、イベントやミートアップのオーガナイズを行なっています。

 

アカデミパーク自体はファンド運営を行っておらず、州政府のグラントやSkolkovoファンドなど、
外部の投資機関と連携して、投資プログラムを入居企業に案内しています。

例えば、アカデミパーク内には”イノベーション振興基金”の地域オフィスがあり、インキュベータープログラムの参加企業に振興基金の投資プログラムの紹介などを行なっています。アカデミパークの入居企業は、研究・開発系の企業や、製造系の企業が多いので、グラントの形式での資金調達が目立ちます。プログラムによって異なりますが、振興基金の場合、投資金額は40万〜1500万ルーブルです。

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Фонд содействия развитию малых форм предприятий в научно-технической сфере

  

 

また、アカデミパーク以外にも、アカデミガラドク内にバイオテクノパークである”Koltsovo”、
ノヴォシビルスク市内に医療テクノパークがあり、ノヴォシビルスクはモスクワとはまた違った
アプローチでロシアのイノベーションを引っ張っています。

 

バイオテクノパーク

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Биотехнопарк Кольцово

 

医療テクノパーク

www.imtcenter.ru